「米朝首脳会談」は準備段階から非常識すぎる トランプ政権はまともに準備できるのか
重要方針の決定プロセス
普通の政権であれば、首脳会談でどのような戦略をとるのか、何を議題とするのかといった問題に対する答えは、政府高官が一連の会議を通して議論する中で決まっていく。会議体はホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)を頂点に階層化されており、下の階層から始まった議論は徐々に上位の会議へと上げられていく。
議論はNSCが取り仕切る省庁間の政策委員会(IPCと呼ばれる)からスタートする。IPCは関係各省の次官補クラスが出席するものだが、IPCの手に負えないような重大案件については、各省庁のナンバーツーである副長官が話し合う会議へと上げられる。
政府全体で足並みをそろえるのは難しい
米朝トップ会談のように極めて扱いが難しく、世界から注目されている首脳会談となれば、大局的な決定のほとんどが政権の最上層部で行われることになるはずだ。
このようなプロセスが大切なのは、関係各省庁からの意見を完全とはいかないまでも、ひととおり吸い上げるのに役立つからである。
しかし、トランプ政権でこのような手順が有効に機能しているかといえば、疑わしい。
形式にとらわれず、突然の思いつきで意思決定を行うのがトランプ大統領のやり方だ。大統領補佐官のボルトン氏も、自分が気に入らない見解や情報を握り潰すような人物だと伝えられている。
加えて、北朝鮮にどう対処していくかについても政権内で意見が割れる可能性があり、政府全体で足並みをそろえて事に当たるのは無理なのではないかとの懸念が強まっている。少なくとも、斬新かつ大胆な提案が政権の最高レベルにまで上げられる可能性はかなり低いはずだ。