ネットフリックスを支える独自の「解雇」哲学 シリコンバレーでも際立つ企業文化

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経費についても、大人ならば会社の発展を第一に考え、有効に、そして自分のカネのように大切に使うだろうというのだ。規定を守らせるために社外の旅行代理店を利用する企業がほとんどだが、社員が大人ならば出張の段取りも自分で行い、そのコストが省ける。

シリコンバレー企業は、「パーク(perk)」と呼ばれる福利厚生が手厚いことでも知られているが、マッコード氏は優秀な人材はパークよりも、同じように優秀な人材とチームを組んで、いい仕事ができることにやりがいを感じるのだと主張している。

自分で自分をトレーニングすることが求められる

彼らは自分でモチベーションを持ち、成長していく人材で、床に落ちたちりを拾うような人たちである。マネジャーの仕事はいいチームを作ることであり、リーダーの仕事は企業文化を作ることだ、というのがマッコード氏の主張だ。

実際、ネットフリックスに在籍したことがある元社員に聞いたところ、「自由と責任」はことあるごとに社員の口から発せられる言葉だという。日々の仕事は個人の裁量に任せられることが多いので、意思決定がしやすく、スピードも速くなる。タスクはわかっているが、そのやり方は自分で考える。「自分で自分をトレーニング」することが求められたという。

また、この元社員は、ネットフリックスでは「A/Bテスト」が多用されるからこそ、意思決定に責任が持て、躊躇せず前進できたと語る。A/Bテストとは、ウェブサイトのデザインやサービスなどで、複数の候補を実際のユーザーで試して、そのデータを比較する手法だ。実装する前に、そのシミュレーションを行って結果を予想できるもので、マッコード氏の著書でも、テストの話題が頻繁に出てくる。

そして、もう1つ、マッコード氏の著書には特徴的な見解がある。これは人材の採用と解雇に関するもので、ことに後者はあまり語られることがないポイントだろう。特徴的というのは、採用も解雇もネットフリックスの発展に密接に結びつけられているからだ。

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