「自転車を積める列車」で鉄道利用は増えるか ママチャリOKの列車も…混雑時の扱いは課題
さらに、サイクルトレインにはスポーツとしてのそれ以外にも期待を寄せる向きもある。“二次交通”としての役割だ。
利用者減少に歯止めがかからない地方の鉄道にとって、大きな課題のひとつは“二次交通”。自宅から駅まで、または駅から勤務先や学校などの目的地までの交通手段をどのように確保するか。その点で、マイカーやバスなどの競争相手に後れを取っているケースも少なくない。ただ、自転車をそのまま持ち込めるサイクルトレインならば、駅から自転車で目的地まで行くことができるため、この問題が解消されるというわけだ。
「ママチャリ」でどうぞ
実際、これまでも多くの地方鉄道でサイクルトレインが導入されてきた。たとえば、埼玉県内を走る秩父鉄道では、事前の試験運行を経て2010年から時間や区間を限定したサイクルトレインの運行を続けている。
「きっかけはサイクルツーリズム推進にあわせて、サイクルトレインの運行はできないかという埼玉県側からの相談でした。現時点では、平日に波久礼(はぐれ)―三峰口、土休日に御花畑―三峰口でそれぞれ日中に限って自転車を持ち込むことができます。専用ラックなどはないので、先頭車両に優先スペースを設けることで対応しています」(秩父鉄道担当者)
つまり、専用ラックを設けている千葉の「B.B.BASE」とは異なり、通常の列車の車内にそのまま自転車を持ち込めるというわけだ。一般の乗客とも混在することになるが、今まで目立ったトラブルなどは起きていないという。
「きっかけがサイクルツーリズムですから、もちろんサイクリストの方々の利用が中心です。ただ、できれば今後は買い物などを含めた一般の人にも積極的に利用していただければと考えています。どうしても家から駅まで距離があったりすることで、日中の外出では鉄道ではなくマイカーを使ってしまう方が多い。サイクルトレインでは、スポーツタイプの自転車だけでなく普通の”ママチャリ”でももちろん乗せられますから、ぜひそういう方も積極的に使っていただければ」(同社担当者)
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