「内憂外患」。現在の日本を一言で表すとしたら、この言葉が当てはまりそうだ。国内では森友学園問題が足かせとなり、安倍晋三内閣の支持率が低下。佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問を経て、支持率は一時の38.7%から直近3月31日~4月1日の調査では42.4%へと回復したものの、不支持率は47.5%と依然として高水準だ。
一方、海外に目をやれば、日米関係は首脳同士の蜜月からは、微妙に距離が生まれつつあるように見える。3月23日に米国が発動した鉄鋼・アルミニウム製品に対する追加関税措置で、日本がその対象国から外れることはなかった。また、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は3月25日から4日間にわたって中国を電撃訪問し、両国の友好ムードを演出。さらに、韓国は4月27日に北朝鮮との首脳会談を決定、また米朝首脳会談も5月末までに行われる見通しだ。各国の動きが活発化するなか、日本の存在感はやや薄れているようだ。
貿易問題や北朝鮮問題をめぐる各国の思惑が複雑に絡み合うなか、外交は極めて混とんとしている。これに加えて、追加関税にも見られるように、中間選挙を控えたトランプ政権の唐突な政策発動リスクも増している。
政治的不透明感の行方がドル円相場のカギを握る
こうした、いつ何が起きるかわからない「不透明感」は、金融市場にとってネガティブだ。先行きが不透明な中、リスクをおそれて投資マインドは冷え込んでいくため、市場全体がリスクオフに傾きやすくなる。足元は日米金利差拡大というファンダメンタルズとドル円相場の乖離が続いているが、これは、「貿易戦争」や「地政学リスク」といった「政治的な不透明感」をテーマに投機筋が円を買っていた、あるいは買い戻していたことが背景だ。日米金利差が拡大したとはいえ、過去の米国の利上げ局面に比べれば微々たるもので、ひとたびボラティリティが高まり、短期的に円高トレンドが形成されるとみれば、投機筋は金利が低くても円を買う。
ただ、2018年度に入り、新年度は機関投資家などの新規投資資金が市場に持ち込まれやすいシーズンでもある。シカゴIMMの通貨先物市場における投機筋の円ショート・ポジション(円売り越し)も、ほぼ解消された。ドル円相場の反転・上昇への環境が整いつつあるなかで、実際に投資家のフローがドル円相場を押し上げるかどうかについては、この「政治的な不透明感」の行方がカギを握る。
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