――これだけ豪華な船ですが、実は乗船しているのは2時間半なんですよね。寝台特急はできるだけ長く乗っていたいですが、この船も、もっと長く乗りたい船だと思いました。
「ありがとうございます。あけぼの丸は他の船と交互に八幡浜港―臼杵港間を1日7往復していて、距離にして67km、所要時間は2時間25分。八幡浜港―別府港間は89km、2時間50分。四国・九州のそれぞれの地元の方や、長距離ドライバーの方のご利用が多いですが、大阪方面から四国、九州へと自家用車で旅行される方も多いですね」
――なるほど! 船なら車と一緒に渡れますもんね。そのまま現地をドライブして帰って来るにはすごく便利ですね。
「そうなんです。しかも船では、ドライバーの方も休むことができます。往復だと割引もありますし、うちの場合それぞれの港が比較的駅から近いので、歩いて利用されるお客様も多いです」
――確かに九州の大分・宮崎方面に行くにはこちらから行った方が便利そうです。青春18きっぷとうまく組み合わせれば、かなりお得な旅もできますね。
列車も船も「郷愁を誘う」乗り物だ
私が寝台列車を好きだった理由は、やはり個室でくつろげる快適さなど、自分の部屋さながらの居心地の良さだった。マイペースに過ごせるこの船に関しても、同じことが言えると感じた。
ちなみに宇和島運輸フェリーで現在就航しているのは「あけぼの丸」「あかつき丸」「えひめ」「おおいた」の4隻。「さくら」という船もあったが、昨年あけぼの丸が就航する際に入れ替わりに引退した。
まさに私が乗船した日、さくらはフィリピンに譲渡されるため松山港を出発したそう。運が良ければ豊後水道あたりですれ違うかもしれない、とのことだったが、残念ながら叶わなかった。
最後は海外に譲渡される船、これも鉄道車両の末路に似ている。列車旅も船旅も、なんとなく郷愁を誘うところに惹かれるのかもしれない。
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