期待の新人を辞めさせない、たった1つのコツ 新入社員は「認められる」ことに飢えている

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ほめたり、認めたりすることには離職の抑制以外にもさまざまな効果がある。

私がこれまで行った研究では、モチベーションや挑戦意欲、組織に対する貢献意欲、一体感、評価に対する信頼感、評価・処遇に対する満足感などを高めること、それに仕事の成果を向上させる効果があることも明らかになっている。

「ほめすぎリスク」にも留意しよう

しかし、一方では弊害もあることを理解しておく必要がある。

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たとえば新人の職場にたまたま社長がやってきて、「君、よくがんばっているね。期待しているからな」と声をかける。すると声をかけられた新人は、それを過剰に受け止め、期待に応えなければならないという一心で、休暇も取らずに毎日遅くまでがんばる。それが続くと、いつか無理がたたってメンタルに支障をきたしたり、辞めていったりするケースがある。

とくに純粋でまじめなタイプの若者には、このような「ほめすぎのリスク」があることも知っておかなければならない。

このような弊害を防ぐためにも、「何がよいか」「どれだけ優れているか」を具体的に示しながらほめるのが望ましい。

承認が必要なのは新入社員だけではない。新人が入ってきたのを契機に、上手にほめたり認めたりする習慣を身につけたいものである。

太田 肇 同志社大学教授

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おおた はじめ / Hajime Ohta

1954年兵庫県生まれ。神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程修了。京都大学経済学博士。公務員を経験の後、滋賀大学経済学部教授などを経て2004年より同志社大学教授。専門は組織論、人事管理論、モチベーション論。著書に『承認欲求』『お金より名誉のモチベ-ション論』(東洋経済新報社)、『日本人ビジネスマン「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)、『承認とモチベーション』(同文舘出版)、『公務員革命』(ちくま新書)、『組織を強くする人材活用戦略 』(日経文庫)、『がんばると迷惑な人』『個人を幸福にしない日本の組織』『「承認欲求」の呪縛』(新潮新書)など多数。

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