安倍首相、閉じない「籠池地獄」の釜のふた

佐川氏喚問は「核心」証言拒否で逃げ切ったが

こうした中、28日午前、北朝鮮の金正恩委員長が25日から訪中して習近平国家主席と初めて会談した、というビッグニュースが世界を駆け巡った。金委員長の外遊は就任以来初めてで、習主席の招請に応じた訪中による中朝首脳会談開催を、中国側が映像も含めて公表した。金委員長は4月末に文在寅韓国大統領との南北首脳会談、5月中にトランプ米大統領との米朝首脳会談を行う予定とされ、今回の中朝首脳会談は歴史的な米朝首脳会談を前に、中朝両国の「同盟関係」を誇示する狙いとみられている。

この隣国同士の電撃的首脳会談の報に、首相は「マスコミの報道を受けて、情報の分析に努めている。中国側から説明を受けたい」と述べた。これは「日本は蚊帳の外に置かれていた」(政府筋)ことを事実上認めたもので、北朝鮮危機での外務省の情報収集能力も問われる事態となった。

党内にもくすぶる「政権交代は時代の流れ」

首相は4月以降、国会攻防を尻目に得意の首脳外交を展開する考えだ。4月初旬の開催予定が先送りとなった首相訪米による日米首脳会談は、4月18日前後に設定される方向だ。また、大型連休中の中東歴訪、連休明けには東京での日中韓首脳会談、さらに5月下旬にはロシアを訪問してプーチン大統領との日ロ首脳会談が予定されている。しかも、首相は米朝首脳会談後の日朝首脳会談開催も狙っているとされる。

「森友政局による危機を、安倍外交で態勢挽回する」(官邸筋)との狙いは明らかだが、肝心の日米同盟関係は鉄鋼・アルミなどの貿易問題で岐路を迎えており、展開次第では首相とトランプ大統領との親密な関係にもひびが入りかねない。

首相は28日、予算成立を前にした参院予算委審議で佐川氏証人喚問について問われると、「コメントしないのが政府の立場」と感想も含めて言及を避けた。さらに、野党側から「部下の不祥事は、最終的にトップが責任をとるのが世の中の常識だ。いつ(首相を)やめるのか」(山本太郎氏)と迫られると、首相は「昨年の選挙で国民の信任を得たのだから、選挙で約束したことをしっかり実現するのが私の務め」と神妙な表情で退陣を否定した。

ただ、28日も株価が下落するなど、経済情勢も悪化の兆しが目立ち始めている。自民党内には「森友疑惑を引きずったまま強引に総裁選で3選を果たしても、憲法改正も含めその後の展望はまったく不透明だ。来年は天皇陛下退位で元号も変わるので、政権が代わるのが時代の流れでは」(自民長老)との声が広がり始めている。証人喚問が一段落しても、今後の態勢挽回は容易ではなさそうだ。

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