怪しい投資話に騙される人に教えたい超基本 利回り・元本保証って信じていいんですか

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――どうやって投資先を探していますか。
行き当たりばったり。探すというより、繋がった先で投資を決めている。何だかんだで「渋谷村」みたいなものがIT業界はあるので、夜飲んでいる時に繋がったり、信頼できる人から紹介されたり、そうしたケースが多い。
ネット系のいい会社は、あまり資金を必要としておらず、いくらでも出し手が集まる。結局はコネというか「ちょっと入れさせてよ」って感じで決まる。これは近くにいるからできること。われわれが有利なポジションにいることに気が付いて、投資育成事業を始めた。実際にネット系っておカネもかからないので、出資を断る会社は多い。今はクラウドも使えるし、ネット系のビジネスは本来おカネがかからない。
――政府系ファンドも投資が活発です。
政府系も独立系VCも、どこもいい加減な投資はしていない。だから投資されるベンチャーがはっきりしている。全然おカネが回らないベンチャーは山ほどある中で、一部のスター性がある会社に殺到してバブルになっているだけ。みんながいいと思う会社は、人もカネも取引先も集まってどんどんよくなる。一方で資金が回ってこないベンチャーに投資したいかと言われると僕もしたくない。」

有望企業への投資は情報とツテ・コネがあることが前提

藤田氏の言うとおり、有望な企業への投資は情報とツテ・コネがあることが前提となる。加えてそこには資金が殺到する。誰から投資を受けるか企業が選ぶ立場であることもわかる。そしてIT大手で上場企業でもあるサイバーエージェントのような企業から出資を受けることは事業運営でもプラスに働く。

どこの馬の骨ともわからないベンチャー企業であっても、サイバーエージェントのようなIT大手が出資しているなら信用しようか、取引をしようか、ここで働いてみようか……とあらゆる面でプラスに働く。ハンズオン投資と言って、おカネを出すだけではなく経営にアドバイスをする投資スタイルもあり、特に上場を目指すならばすでに上場している企業から投資を受けることはさらに有利に働く。

「投資をする側は偉い」「おカネを出してやっている」と誤解する人もいるかもしれないが、それはお客側として投資信託や生命保険を買う場合だ。放っておいても資金が集まる将来性のある企業にとって、情報・コネ・アドバイスができる能力など、何もない人はたとえおカネを持っていてもご遠慮くださいと言われてしまうのが現在のカネ余りの状況だ。

それでも投資をしてくださいと個人から小口でおカネを集めるような面倒臭いことをやるのは、良くて藤田氏がインタビューで答えているような誰もおカネを出したがらないほど将来性のない企業か、それが詐欺狙いということになるだろう。

加えて、将来上場を目指す企業が不特定多数の個人から出資を募ることは通常考えられない。もし投資家の中に反社会的な勢力が混ざっていればそれだけで上場に赤信号が灯るからだ。結局まともな投資案件の話が回ってくるのは藤田氏が説明するように有利な立場にいる人や企業ということになる。

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