「本気でキツい参勤交代」の知られざる裏側 「1日40キロで1年おき…」殿様も歩いた?

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参勤交代の意外な実態には、ほかにもこんなものがあります。

土下座の義務なし、行列を横切るのはNG

Q10.庶民は行列をどう見ていたのですか?

時代劇では、行列に向かってひれ伏してやり過ごす庶民の姿が描かれますが、実際のところ「土下座」は必ずしも義務ではなく、御三家など以外には適用されませんでした。

先の「下にィ〜」の掛け声は、「土下座しなさい」という意味なのです。その他の大名の場合は、道をよければ構いませんでした。ただし、行列を横切ることは厳禁でした。

行列が建てられると、藩主の駕籠の側につき従う藩士(髭奴・ひげやっこ)が、派手に飾られた特別な長槍を豪快に振ったり投げたりする軽業(奴踊り)のパフォーマンスを披露し、沿道の人々を楽しませるなど、「エンターテインメント」的要素も含まれていました。

Q11. 道中の移動ペースはのんびりですか?

いいえ、まったく逆の「強行軍」です。前述の福井藩の例で見ると、東海道が使われた場合は1日平均約9.4里、中山道使用の場合は約9.8里、つまり、「1日あたり40キロ程度の移動」となります。

朝の出発はだいたい午前5時から6時、途中昼食や小休止をはさみながらも「約10時間」を踏破し、夕方5時頃に宿泊先の本陣に入りました。

もちろん、支障がない限り休日などなく、それぞれ割り当ての荷を負っての行軍ですから、実際は相当ハードです。

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