「本気でキツい参勤交代」の知られざる裏側 「1日40キロで1年おき…」殿様も歩いた?

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今回も、よく聞かれる質問に答える形で、解説しましょう。

Q1.参勤交代とは何ですか?

江戸時代に、徳川幕府が行った大名統制の一環で、諸大名が一定の時期を限って交互に江戸へ伺候し、もしくは領国に帰った義務制度です。

諸大名が江戸に伺候することを「参勤」、領国に戻ることを「交代」(ほかの大名の参勤と「交代」するという意味)といいました。

豊臣秀吉もすでに似た制度を行っていましたが、徳川の時代になり、元和元(1615)年に初めて武家諸法度に参勤作法が規定されたのち、寛永12(1635)年に3代将軍家光が発布した『武家諸法度寛永令』の第二条に参勤交代制が明記されました。

ただし、当初の対象は外様大名に限られており、寛永19(1642)年の改定で譜代大名にも適用されました。

原則1年ごと、ただし5年に1度の藩も

Q2.参勤交代は「どの時期に」行われたのですか?

外様大名は毎年4月、譜代大名は6月あるいは8月が主なシーズンです。

各大名はこの参勤交代を期に、江戸もしくはそれぞれの領地で1年を交互に過ごします。ただし、災禍(地震・大火などの災害、飢饉、反乱等)や、城・寺社・道路の改修といった普請工事、冠婚葬祭、病気など、幕府と自藩それぞれの諸事情により、参勤交代の時期が変更されたり、あるいは免除されるケースもありました。

Q3.参勤交代は全大名一律に1年ごとですか?

基本的には1年ごとに参勤と交代を繰り返しますが、例外も存在しました。たとえば、御三家の水戸藩と、老中など幕府の要職に就いた大名は、基本的に江戸定府(じょうふ・江戸に常駐)でした。

また、関東の譜代大名はおよそ半年ごとの短いスパンでの参勤交代だったほか、対馬藩の宗氏は「3年に1度」、蝦夷地(北海道)の松前氏は「5年に1度」の参勤など、遠隔地の一部大名には特別な配慮もありました。

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