「楽壇の帝王」カラヤンが今でも愛されるワケ

あえて「好き」とは言いにくいほどの人気ぶり

単独のアルバムとしては、1995年に発売された「アダージョ・カラヤン」がシリーズ全体で全世界500万枚の販売を記録する大ヒットとなったことが驚異的だ。美しいアダージョのメロディばかりを集めたこの人気アルバムを買いに出かけたご婦人が、ヘルベルト・フォン・カラヤンの文字を見て「私が欲しいのはヘルベルト・フォン・カラヤンではなくアダージョ・カラヤンというほうのアルバムよ」と言ったという笑い話が流れたのもこの頃だ。

いやはや凄い。そもそも、現在我々が聴いているCD(コンパクトディスク)の収録時間は、カラヤンが指揮するベートーヴェンの交響曲第9番「合唱付き」が全曲収まる時間である74分に設定されたというのだから恐れ入る。

録音だけでなくライブも凄まじい。その生涯に行われたコンサート数は、判明しているだけで3198回。これは毎週1回コンサートを行ったとして62年間かかる計算だ。まさに驚異的な数字の数々は、カラヤンが記憶だけでなく記録にも残るスーパースターであったことの証だろう。

一流のシェフが最高の材料を使って仕上げたかのよう

今回生誕110周年を記念して発売される最新ベスト盤「パッヘルベルのカノン~カラヤン超定番ベスト」に収められた20曲は、過去の売り上げデータを元に選び抜かれた人気曲ばかりなのだとか。

「パッヘルベルのカノン~カラヤン超定番ベスト」収録曲目
1.パッヘルベル:カノンとジーグ
2.ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」〜第1楽章
3.マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲
4.ブラームス:交響曲 第3番 ヘ長調 作品90から 第3楽章 
5.チャイコフスキー:バレエ組曲《くるみ割り人形》から〈花のワルツ〉
6.ビゼー:《アルルの女》第2組曲から〈ファランドール〉 
7.スメタナ:交響詩《モルダウ》
8.チャイコフスキー:弦楽セレナード ハ長調 作品48から 第1楽章
9.ボロディン:歌劇《イーゴリ公》から 〈だったん人の踊り〉
10.ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集《四季》より《春》の 第1楽章 
11.シベリウス:交響詩《フィンランディア》作品26の7 
12.モーツァルト:《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》から 第1楽章 
13.J.シュトラウスI世:ラデツキー行進曲 作品228
14.プッチーニ:歌劇《トゥーランドット》から 〈誰も寝てはならぬ!〉
15.J.S.バッハ:管弦楽組曲 第3番 ニ長調 から 〈G線上のアリア〉
16.グリーグ:《ペール・ギュント》 第1組曲 作品46から 〈朝〉 
17.ブラームス(パーロウ編):ハンガリー舞曲集 第5番 ト短調 
18.ホルスト:組曲《惑星》作品32から 〈木星 - 快楽をもたらすもの〉
19.ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 《新世界より》から 第4楽章 
20.ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 《合唱》から 第4楽章

まさにまさに。この手の作品を手掛けた際のカラヤンの手際の良さと聴かせどころを把握する上手さは絶品だ。カラヤンが時代を超えて愛される理由はこのあたりにあるのだろう。一流のシェフが最高の材料を使って仕上げた料理のような名曲の数々をぜひ堪能してほしい。

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