ジリ貧「テトラポッド」業界、反転攻勢なるか

「消波ブロック」の知られざる実態

製造中のブロックは12トンモデル。身長170センチの横田所長にお願いして隣に立ってもらったが、その大きさに驚かされる。だが「これはまだまだ小さいほう。大きいブロックでは80トン級にもなる」(横田氏)。その場合は足場も必要で、ブロック1個の製造でも現場はちょっとした戸建て並みの規模になる。

完成したブロックには識別番号が振られており、確認した中で最も大きい数字は224だった。ここの現場だけで、製造するブロックは1000個以上にものぼるという。ちなみに12トンモデルでは、型枠リース料や労務・資材費などを含めて1個10万円ほどだという。むろん個人販売はしていない。完成したブロックは、既存のブロックの上にクレーンで積み重ねられていく予定だ。

もともとフランスで開発された

自然災害の多い日本では全国に消波ブロックが設置されている。その歴史をひもとくと、1949年に火力発電所の護岸工事のためにフランスで開発されたのが始まりだ。配水管を波から守るために設置されたが、その優れた消波能力が話題となった。ほどなく日本でもブロックが造られるようになり、1961年にはフランスからブロック製造の特許を譲り受けた日本テトラポッド(現不動テトラ)が設立され、加速度的に普及していった。

トレードマークとなった4脚のブロック「テトラポッド」が製造されるのもこの頃だ。高度経済成長の波に乗り、ブロックは全国の護岸工事で設置されていった。1967年には業界団体である「日本消波根固ブロック協会」が発足、現在16社1支部が加盟するひとつの産業へと成長した。

だが、ビジネスとしての消波ブロック事業の先行きには不透明感が漂う。「全国の港湾でブロックの設置が一巡し、需要が細ってきている」(日本消波根固ブロック協会の中西勉会長)ためで新規に設置できる港湾や河川敷になくなってきているのだ。市場全体の統計が存在せず厳密な業界動向の把握は難しいが、上場企業3社のブロック事業部門の売上高推移を見ると、長期的な衰退傾向にある。

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