4月の安倍訪米は「中止」が得策かもしれない 日米関係に亀裂が入る危険性が増している

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オバマ氏は、2016年5月、米大統領で初めて広島を訪問、被爆者とも抱擁を交わし、「核なき社会」の演説は多くの人々に大きな感銘を与えた。

しかし、このオバマ氏の「核なき社会」論は、オバマ氏が現役の大統領時代に北朝鮮に対して無策だったために、実質的に大きな弱点があるという批判が、今日の米国にはある。エリート中のエリートであるオバマ氏が、この点を気にしていないはずはないであろう。

したがって、今回の訪日でも、安倍首相との会談では、北朝鮮問題に触れる可能性はゼロではない。これまでオバマ氏は北朝鮮に対しては「戦略的忍耐」と称して、事実上、何もしなかったことは、歴史的な事実でもある。

トランプ大統領は「戦略的忍耐の時代は終わった」と、昨年11月、日米首脳会談後の共同記者会見で明言し、「米国は日本と団結し、北朝鮮の悪意に満ちた脅威に立ち向かっていく。安全保障と主権を守っていく」と強調した。

そんなトランプ大統領は、これまで北朝鮮問題に何もしなかったオバマ氏はじめ歴代大統領の「無策」に対して怒り心頭に発している。それだけに、安倍首相としては、オバマ氏との会談によって、トランプ大統領と安倍首相自身の親密な関係に摩擦を起こしたり、亀裂を入れたりしないように注意する必要がある。

日本がディールキラーになりかねない

ここへきて北朝鮮問題は、実に大きく動いた。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、韓国政府の特使と会談し、4月末に韓国の文在寅大統領と会談することに合意。もし軍事的脅威がなくなり、体制維持が保証されれば、「核を保有する必要はない」と非核化にまで言及。そのうえで米国との対話の用意があると申し入れたのだ。

この誰も予想できなかったような大きな変化。それを呼び込んだのはほかでもない。一昨年の大統領選直後にトランプ大統領が、オバマ氏から北朝鮮問題を引き継ぎ、以来、トランプ大統領が一貫して強力に推し進めてきた軍事的手段を含む制裁と圧力の強化など、総合的な取引・工作があったからにほかならないと筆者は分析している。メディアが好むと好まざるとにかかわらず、「天才ディールメーカー」としてのトランプ大統領の面目躍如たるものがそこにはあるのだ。

いま起こっている北朝鮮の変化は、米国の過去の大統領の一人として無策だったオバマ氏にとっては、何とも格好が悪い。そんな分が悪いオバマ氏と安倍首相が会うことは、たとえオバマ氏が民間人の身分としても、安倍首相にとっては大きな国際政治リスクになりかねない。

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