首脳会談は、北朝鮮にとっては「ご褒美」だ 北朝鮮の悲願だが米政権にとってはリスクに
[ソウル/ワシントン 9日 ロイター] - 北朝鮮の指導者は、これまで少なくとも過去20年に渡り、米国大統領との直接会談を求めてきた。
予期せぬ形で米朝首脳会談の実現可能性が浮上する中、北朝鮮が長年切望してきた政治ショーの場を、同国に非核化を促す意味ある機会に変えるだけの専門知識が、主要ポストが空席だらけのトランプ政権には欠けているのではないか、とアナリストは危惧している。
韓国の政府高官は9日、トランプ大統領が、前提条件なしに5月までに北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と会うことに直ちに同意したと語った。北朝鮮に対する外交的アプローチを支持してきた人々からも、米政権が十分な準備期間なしに首脳会談を急ごうとしているのではないかとの懸念の声が上がっている。
米朝トップが史上初めて顔を合わせる、今回のような首脳会談では、少なくともいくつかの具体的な合意が両国間で成立した後に設定されるのが一般的だ。北朝鮮政府高官と非公式協議を行った経験があるシンクタンク「ニュー・アメリカ財団」のスザンヌ・ディマジオ上級研究員はそう語る。
「周到に準備した上で、細心の注意をもって遂行されなければならない」と、ディマジオ氏はツイートした。「さもなければ、中身のないショーに終わるリスクがある。現段階では、金正恩が内容やペースを設定し、トランプ政権がそれに対応している。米政権は、早急に動いてこの構図を変えなくてはならない」
ティラーソン米国務長官はこれまで北朝鮮を巡り、ホワイトハウスから大っぴらに見解の相違を露呈されることが多かった。8日も、米朝首脳会談の実施見通しが発表されるほんの数時間前に、ティラーソン氏は「われわれは交渉入りには程遠いところにある」と発言していた。