首脳会談は、北朝鮮にとっては「ご褒美」だ 北朝鮮の悲願だが米政権にとってはリスクに
トランプ政権で韓国や東アジア関連の主要ポストに就いているのは、経験豊富なキャリア外交官たちだ。だが、その多くは「代行」の立場で、空席のままのポストも多い。
北朝鮮担当特別代表だったジョセフ・ユン氏は3月初めに退任した。トランプ氏は、まだ韓国大使を指名していない。
「トランプ大統領と金氏の会談には、リスクとチャンスの両方が潜んでいる。米側は、極めて周到に準備し、何の達成を目指し、見返りに何を提供する用意があるのか、明確にする必要がある」と、米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のボニー・グレイザー氏は語る。
北朝鮮への褒美
北朝鮮はこれまで、国際的な正当性を確保するために米国指導者との首脳会談を求めてきており、米政権側は、それが一因で、この要望を拒否してきたと、専門家は指摘する。
「首脳会談は、北朝鮮にとってはご褒美だ」と、韓国・釜山大のロバート・ケリー教授は指摘する。「世界最強かつ民主主義陣営を主導する国家元首と会うという栄誉を彼らに与えることになる。だからこそ、北朝鮮が意味ある譲歩をしない限り、実現されるべきではない。これまでの大統領たちが応じてこなかったのはそのためだ」
北朝鮮が核兵器を保有し、トランプ氏がこの撤去のために軍事攻撃が必要になる可能性に言及している今となっては、首脳会談が失敗した場合の代償はこれまでより大きくなると、専門家はみている。
金正恩氏は、「非核化にコミット」し、核とミサイルの実験を凍結すると話したと、韓国特使として訪米した鄭義溶・大統領府国家安全保障室長は8日、ホワイトハウスで記者団に明らかにした。だが北朝鮮は、まだ詳細を明らかにしていない。