「幼い頃、父が海外に単身赴任をしていて、ほとんど母子家庭のような状況の中で育ったんです。2人姉妹なんですが、妹には健康面のトラブルがあって、母が妹にかかりきりだった。私は長女だったし、母に迷惑をかけまいといつもいい子を演じて、心配させないようにしてきました」
子どもの頃から、いつも優等生。優等生は一見自己肯定感が高そうに思えるのだが、優等生ほどつねに人の目や評価を気にしている。また、いつも他人と自分を比較して、自分のほうが優秀でいたいと頑張りすぎてしまう。実は内面では疲れているし、不安がつきまとっている。優等生ほど自己肯定感が低いというのが、専門家の見立てだ。
ただ、優等生は努力家なので、勤勉に勉強し、仕事を頑張り、それに見合った結果を出している人が多い。そこは誇らしいと思っているし、自信がある。ところが恋愛に関しては、そうはいかない。努力するほどに手痛いしっぺ返しを受けることもある。思うとおりにいかないと、それが自信のなさと恐怖心につながっていくのだ。
「20代の頃の私は、41になって独身でいるとは、つゆほども思っていませんでした。真剣な恋愛もしてきましたが、好きになってお付き合いをした相手との先に結婚はなかった」
恋愛することが、とても下手
なぜ、恋愛を結婚へと成就させることができなかったのか。
「自分で恋愛をぶち壊しちゃうんです。相手をすごく好きになると、不安な気持ちが大きくなって、何か起きると、一気に悪いほうに取ってしまう。メールのやりとり1つにしても、“こう書いてあるけど、私の書いたことが気に障ったのかな”とか、モヤモヤよくないことを考えてしまう。LINEを送って、返事がこないと“なんで返事がこないんだろう。もしかして私との関係を終わりにしたいのかな”とか、最悪のシナリオばかり考えてしまうんです」
しかし、人を好きになったときに、相手の言動に一喜一憂してしまうのは、多かれ少なかれ誰もが経験していることではないか。たとえば仕事での失敗は、やり直したりやり方を変えたりすれば、リカバーできる。しかし、こと恋愛に関していえば、どんなに努力をしても、アプローチの仕方を変えても、いったん動いてしまった相手の気持ちを取り戻すことはできない。だから相手を好きになればなるほど、嫌われるのが怖くなる。
「実はつい最近も、すごく落ち込んだ出来事があったんです」
ありさは、思いつめたような顔で続けた。
「日本人だけでなく海外の人ともつながって友達になれるアプリと、趣味が同じ人が集まってオフ会を楽しむアプリに登録しているんです。ネットワーキングを使って、外国の方と知り合うチャンスを作っているんですね」
ありさは、日本人ではなく外国人との結婚を望んでいた。
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