道を究めた人は「自分ノート」に何を書いたか 子どもに勧めるときにはコツがあります

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ノートを使って道を究めるのはアスリートだけではありません。将棋のプロ棋士・藤井聡太さんも、5歳のころから将棋ノートをつけています。通っていた子供将棋教室の塾長に「負けたときこそしっかり反省し、ノートに書くこと」と教えられ、それを忠実に守ってきたのです。自分で考えた詰め将棋もノートに書いてきました。書くことで考えを深めることができ、記憶にも残り、それが次に生きます。そういうことを繰り返しながら、将棋の実力を磨いてきたのです。プロ棋士になっていきなり29連勝し、その後初めて負けたときも対局の後でノートに書き込み、次局への糧にしたそうです。

将棋と言えば、通算1433勝、タイトル戦連続登場50期という記録を持つ大山康晴15世名人の将棋ノートも有名です。山陽新聞によると、倉敷市大山記念館に26冊が寄贈されています。16歳から亡くなるまでの主な棋譜が残されていて、対局後の感想なども書かれています。ライバル升田幸三実力制第4代名人との一戦に勝ったときは、「升田さんは…あっぱく力が有る」という感想を書いています。初めて名人に挑戦して4勝1敗で勝利したときは、「最後に至り緩手連続して敗れたことはあほーらしいやう」という感想や、「急戦はそん、持久戦えらべ」という反省も書かれています。

私の教え子のお父さんで、一流ホテルのシェフをしている人がいます。彼は子どもの頃から料理が好きで、日頃からよく作っていたのですが、その頃から自分の考えたレシピや雑誌に載っていたレシピ、実際に作ってみての感想と反省などをノートに書き写していたそうです。また、私が尊敬する授業の名人・M先生はずっと授業ノートをつけていました。事前に授業の進め方を書き、授業の後は子どもの様子や改善点を書いていました。

まさに理想的なPDCAサイクル

このように、いろいろな分野で一流といわれる人たちの多くがノートをつけています。では、ノートをつけることにはどんな意義があるのでしょうか?

「書くことは考えることだ」と言われるとおり、書くことで自分の頭を使って深く考えることができます。実行する前に考え、また実行した後にも考えます。それによってただ実行しただけにとどまらず、そこから新しい発見をしたり、コツや原理原則に気づいたりすることができます。それらのすべてが次に活きます。まさに、理想的なPDCAサイクルです。

こういったことが本当に大事で、どんな分野でも一流の人というのは自分の頭でよく考える人たちなのです。また、書いていると自分が何も知らないことに気づくので、より詳しく調べたくなります。調べたことを書くことで、さらに情報や知識が増えます。また、書くことで長く記憶に残るようにもなります。目標や決意を書くことでそれが心に刻まれますし、繰り返し見ることでモチベーションの維持も可能になります。まさにいいことずくめです。

ですから、これをお読みのみなさんも、ぜひノートを使って自分の道を深めてはどうでしょうか。思い立ったが吉日であり、始めるに遅すぎるということはありませんから。

それと同時に、このようなノート術を子どもたちにも教えてあげるといいと思います。スポーツや習い事、趣味、好きで熱中していることなどについて、ノートに書いて深める方法を教えてあげてください。ピアノに熱中している子ならピアノのことを書きます。その日練習したこと、練習中に気がついたこと、自分で考えた工夫、先生に言われたこと、これからがんばりたいことや目標、コンクールへの決意、反省点や改善点、ライバルの研究、ピアノの種類、ピアノの歴史、有名なピアニストのこと、などです。

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