怪しい投資話を疑わない人が知らない大原則 海外商品へ安易に手を出すのは危険すぎる

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投資詐欺で最もポピュラーなものが海外投資だろうか。「国内では買えない金融商品が買えます」と、日本の金融商品はあたかも質が劣っているかのように思い込ませるのが特徴だ。

大原則として以下の4点を知ってほしい。

・海外の市場だからリターンが高いわけではない
・海外の金融商品だからリターンが高いわけではない
・国内の金融機関で海外に投資することは可能
・海外の金融機関が、日本国内で免許・許可・登録なく金融商品を売る、あるいは仲介することは違法である

国内で買えない金融商品は確かにある。ただ、国内の証券会社でも各社で取り扱う商品に差があり、それと同じ程度の話だ。海外で売られているからといって質が高いとかリターンが高いということはない。海外の商品は優れているといった誤解については、成績が良いものだけを集めればいくらでもそのような説明は可能だろう。国内の商品でも成績上位の投資信託等ならば飛びぬけてリターンの高い商品はたくさんある。

15~20年ほど前には「なぜ日本の証券会社はこういう投資信託を扱っていないのか?」と言いたくなるような、資産運用を行ううえで当然あるべきベーシックな商品がないという状況はあったが、そのような状況はかなり改善された。取り扱いが増えたものの中には「海外へ投資する金融商品」も多数ある。海外の金融機関を利用するまでもなく、日本の金融機関から海外へ投資することは可能だ。

一部の国内の証券会社ではアメリカをはじめ世界各国の株やETF(上場投資信託)を買うこともできる。そんな状況でわざわざ手間暇をかけて海外の金融機関に口座を開いて投資をする必然性は相当に低い。少なくとも投資の初心者はやる必要がまったくない。

投資のプロもずっこけたマニアックでハイリスクな商品

過去に筆者が受けた資産運用トラブルの相談で、仲介業者を経由して海外投資をしている案件がいくつかあった。かなり損をしているけど続けても大丈夫か?という当初はセカンドオピニオン的な、あくまで投資の相談だった。しかし話を聞いて調べているうちに怪しいとか危ないという状態を通り越して完全にアウト、つまり違法行為が多数見受けられる状況で、大損どころか全額失う可能性があると正直に伝えた案件もあった。

予想どおり違法行為が発覚して金融庁から処分を受けた案件も複数あり、そうなってしまうと後は警察や弁護士の出番だ。大金を投じる前に相談に来てくれれば、としか言いようがない。

トラブルに巻き込まれてしまった顧客が保有する金融商品を調べたこともある。海外でしか売られていない投資信託で中身を確認するまでかなり苦労したが、英語で書かれた説明を解読していくと、特定の国の極めてマニアックで偏った資産に投資をする商品であることが判明した。どれくらいマニアックかというと、外資系金融機関を経て投資アドバイザーとして活躍している知人に聞いても「そんな商品あるの?」と驚かれたほどだ。

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