怪しい投資話を疑わない人が知らない大原則 海外商品へ安易に手を出すのは危険すぎる
しかも、その商品は過去にはたびたび売却できない状態に陥っていた。手堅く運用をしたいという顧客の要望とは大きくかけ離れており、顧客もそこまで得体の知れない商品に投資をしているとは想像もしていなかったようだ。そんな商品がローリスクで確実に儲かる商品であると、ろくに中身も説明せず販売されていて、その事業者は一体いくつの法律違反を犯しているのか、相談を受けたときは目まいがしそうなほど驚いたことを覚えている。
国内で金融商品を扱うには許認可が必要
資産運用の対象となる運用商品は大きく分けて株・不動産・債券と3つのカテゴリーに分類できる。これを国内、先進国、新興国でさらに分類すると3×3=9種類となる。金や原油などの総称である商品(コモディティ)も加えると10のアセットクラス(資産の種類)に分類できる。このうち、先進国や新興国の株・不動産・債券が海外投資となる。
繰り返すが海外へ投資をする金融商品(投資信託や保険等)は国内の金融機関でいくらでも買える。しかも安全な形でだ。損をする可能性はあっても、おカネを持ち逃げされたり、詐欺に巻き込まれたり、仲介業者に逃げられて(あるいは逮捕や業務停止によって)自身で海外の金融機関と直接交渉をするような状況に陥ったりすることはない。
国内で営業許可をとっていない事業者は金融商品を売ることはできない。これは金融庁のホームページで公開されている「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」のページを見れば全て確認できる。ここに載っていない事業者が金融商品を販売・仲介していれば違法行為の可能性が高い(当然、ここに載っているからといって安全ということもない。トラブルを起こして許認可が取り消されることも度々ある)。
海外の金融機関に口座を作ることやそこで資産運用をすること自体は必ずしも違法行為ではない。海外に転勤した人はもちろん、外資系企業でストックオプションや従業員持株会等で株を保有している場合など、いずれも珍しくはない。したがってそのやり方や個々の案件の適法性については言及しない。
ただ、「海外の金融機関に口座を開いて投資をしたいんですけどどうでしょう?」と筆者が相談を受けたら、トラブルが発生した時に自分で解決できるだけの語学力、英語で書かれた商品説明を読んで理解するだけの金融分野の知識、あとはトラブル発生時に対応するだけの時間があるなら自己責任でやってもいいんじゃないでしょうか、といった回答になる。
おそらくそこまで手間をかけて、なおかつトラブルや詐欺のリスクを抱えて投資をするくらいなら初心者に限らず国内の金融機関を利用したほうがよっぽどマシ、ということになるだろう。
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