シリア危機から7年、まだ終わらない悲しみ 日本からは一体何ができるか
堀:シリアに関しては日本での報道が少なくなってきたと感じるのですけど、ラガドさんはどのように感じていますか? また、注目が薄まってしまうと、実際にどういうリスクがあるでしょうか?
アドリー:やはり、もう少し伝わってほしいですね、毎日シリアで起きていることを。大事なニュースがあっても日本であまり報道されていないので。報道されないと関心も減り、支援も減ってきてしまいます。シリア危機は終わっているわけではありません。もう少し見て知って、ただただいろんな人にいろんなところで話してほしいです。「シリアでまだ続いてますよ」というくらいでいい。それが続いていくと、もう少し世界がシリアを見るようになり、支援も入ってくると思います。
堀:何をいちばん知ってほしいですか?
アドリー:「私たちのことを見てください」とか、「私たちが毎日どのような生活をしているのか見てください」とか、「何で見てくれないのか」というシリアからの動画がネットでよく上がっていて。単純な言い方なのですが、彼らのことを、彼らの気持ちを、知ってもらいたいです。
問題があまりにも多様になってきている
堀:小田さん、AAR Japanさんはシリア難民支援の活動をトルコでも続けていらっしゃいますが、支援の現状を教えてください。
小田:シリアからトルコに入ってくる難民は、一時は本当に大量の人が国境に押しかけてきて、怒涛のようにトルコに入ってきていたのですが、今は国境ゲートを閉めているということもありそんなに多くはありません。それでも越境してくる人たちもいます。また、まだ難民登録していなかった人たちがだんだん登録してきているので、登録済みの難民の数が増えているということはあります。最初に押し寄せてきた時は、着の身着のままで逃げてくるので、食料や住居などいろんな問題がありますが、それは一過的な問題にすぎません。しかし今、避難先のトルコで何年も住んでくると、ほかの問題が発生してきているんです。それは、最初に難民が押し寄せてきた時のひとかたまりの問題と違って、個人が抱えている問題。たとえば、「難民登録して労働許可を取りたい」という方もいれば、負傷していたりずっと病気を持だったりという健康的な問題を抱えている方も。また、子どもの教育も深刻です。アラビア語が全然できない子が増えてきています。それぞれの問題があまりにも多様になってきているので、私たちもひとかたまりの支援ではなく、一人ひとりのニーズに合った支援を考えています。