「米朝トップ会談」は裏目に出るリスクもある 非核化をあまり強く求めると…

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首脳会談は、現職の米国大統領と北朝鮮指導者との初の会合となり、4月の金委員長と文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領の会談の後に行われる予定だ。

韓国代表団は6日午後、2日間の北朝鮮訪問から帰国すると、「金委員長は、北朝鮮が安全を確保することができれば非核化する意思を表明した」と会見で述べていた。また報道によると、北朝鮮指導者は非核化と米朝関係の正常化について、米国と率直な対話を行うことを望んでいるとも伝えられていた。

ただ、レックス・ティラーソン国務長官は、8日のエチオピアの首都アディス・アベバでの記者会見で、北朝鮮と米国の交渉について慎重な発言をしている。

強い圧力を掛けると裏目に出るリスク

2月に韓国を訪問した2人の北朝鮮高官のうち1人は文韓国大統領を平壌に招待する親書を携え、もう1人は米国との会談の申し出を表明した。

2016年の選挙遊説でトランプ大統領は、北朝鮮の指導者と「ハンバーガーを食べながら対話することなら喜んで行う」とも述べていた。しかし大統領就任以来、トランプ政権は強硬路線を貫いている。もし対話を行う場合、北朝鮮は非核化の約束を表明しなければならないというバラク・オバマ前大統領の姿勢を継続しながら、「最大限の圧力」の政策を推進している。

ある専門家はNK Newsに、8日のニュースが、「最大限の圧力」の政策は当面は「機能している」ことを示していると語った。

「トランプ大統領の圧力政策は北朝鮮のミサイル計画を止めることに成功し、基本的には交渉の場に引っ張ってくることができた」と、コリア・リスク・グループのディレクターであるアンドレイ・ランコフ氏は語った。「しかし、これはこの政策が機能し続けることを意味しない」と警告する。「トランプ大統領は(金委員長に対し)より大きな譲歩を求める可能性があり、それを推し進めることにも限界がある」「おそらく、北朝鮮は時間稼ぎをするつもりで臨むのだろうが、米国が非核化をあまり強く押し付ければ、米国が望んでいるものは何も得ることができず、バックファイヤーする(=裏目に出る)可能性がある」。

会談が実現すれば、2000年のマデレーン・オルブライト国務長官と故・金正日(キム・ジョンイル)総書記との会談以来、現職米政府関係者と北朝鮮指導者との最も重要な会談となることは間違いない。

オリバー・ホッサム NK News マネージング・エディター

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Oliver Hotham

NK Newsのマネージング・エディター。ツイッターアカウントは @oliverhotham。メールアドレスはoliver.hotham@nknews.org

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