金委員長「非核化は先代の遺訓」発言は本物か 4月南北首脳会談が電撃的に決まった舞台裏

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訪朝した韓国側特使と握手を交わす金正恩党委員長(右)。(写真:韓国大統領府)

3月6日、韓国と北朝鮮は今年4月末に、3回目となる南北首脳会談を開催することで合意した。予定されている会談場所は、南北軍事境界線にある板門店の韓国側の施設。さらに首脳同士のホットラインを設置することでも合意した。1950年の朝鮮戦争(~53年)以降、北朝鮮の首脳が韓国の地を踏むのは、金正恩・朝鮮労働党委員長が初めてだ。

当記事は「ソウル新聞」掲載記事の日本語訳です(一部、理解を助けるための加筆をしています)

金委員長は韓国の文在寅大統領が派遣した特使団に対し、「非核化は先代(金日成主席、金正日総書記)の遺訓」と述べ、非核化への意欲を初めて表明。北朝鮮は米国と非核化や米朝関係正常化の話し合いも可能と述べ、対話が継続される間の核実験や弾道ミサイル発射などの挑発は中断する「条件付きの核モラトリアム」を宣言した。

「南には核兵器も通常兵器も使用しない」

韓国側特使団の首席特使として平壌を訪問した鄭義溶(チョン・ウィヨン)大統領府国家安保室長は、「南北首脳が朝鮮半島の平和定着と南北関係の発展について、確固たる意志を持っていることを確認した」と述べた。鄭室長はまた、「北側は、軍事的脅威が解消され、かつ体制の安全が保障されれば核を保有する理由がないことをはっきりと述べた。さらに北側は、核兵器はもちろん通常兵器さえも南側に向かって使用しないことを確約した」と強調した。

4月頃に予定されている米韓合同軍事演習についても、「金委員長は、北側は平昌五輪のために延期された演習が例年の水準で行われることを理解するとの立場を明らかにした」と説明。米韓合同軍事演習が再開され、北朝鮮がこれに対応するような措置をとれば、昨年のような危機状況が再現されるリスクも懸念されていたが、その懸念は遠のいた。ただ、金委員長は「朝鮮半島情勢が安定的な局面になれば、米韓合同軍事演習が調整されることを期待する」とも述べたという。

北朝鮮は、米朝対話のために条件をつけなかった。鄭室長は「米朝対話を始めることができる十分な与件がつくられようとしている。米国に伝える北朝鮮の立場を別途に持っている」と述べた。鄭室長は早ければ3月8日に訪米してトランプ大統領に対し訪朝結果を説明し、米朝対話を行うよう説得する計画だ。また、中国とロシアを鄭室長が、日本には徐薫(ソ・フン)国家情報院長が訪問し、それぞれ韓国政府の立場への支持と協力を要請する計画だ。

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