金委員長「非核化は先代の遺訓」発言は本物か 4月南北首脳会談が電撃的に決まった舞台裏
今年1月1日に金委員長による新年の辞から始まった、北朝鮮からの南北関係改善への行動は、ついに南北首脳会談という地点まで進んだといえる。
2000年に当時の金大中大統領と金正日総書記(共に故人)による初の南北首脳会談の後、韓国側は金総書記の訪韓を要請し続けたことがある。ソウルがだめなら板門店でとの提案もしていたが、結局、北朝鮮から拒否されて実現しなかった。
韓国側特使団がもたらした結果と金委員長の行動について、専門家らは「核・ミサイルを開発した後、米韓と対等な立場で交渉を行うための長期ロードマップが策定されており、それに沿って金委員長が行動しているのではないか」と見る。3月6日、記者らが鄭室長に「米朝対話を行うとする金委員長の具体的な発言について教えてほしい」と質問。それに対し、鄭室長は「具体的な内容を公表するのは適切ではない」と制したものの、「米朝対話における議題として、非核化を論議できる。非核化は故・金日成主席、故・金正日総書記ら先代の遺訓に変化はないと述べた」と明らかにした。
「非核化は先代の遺訓」と金委員長が直接述べたことは、金委員長が局面転換に向けて長期間準備していたという分析に力を与える。金委員長は今年元日に発表した新年の辞で、いきなり南北関係の改善と平昌冬季五輪への参加に言及した。2017年に緊張が高まった局面から、対話局面への転換を準備していたのではないかという意味だ。
このような分析に対し、盧武鉉政権で統一相を務めた李鍾奭(イ・ジョンソク)氏は最近、「2017年11月29日に北朝鮮が大陸間弾道ミサイルである火星15号を発射し、北朝鮮は核武力完成を宣言した。だが、技術的側面からすれば追加的な試験が必要と指摘されていた。それでも実験をしなかったことは、交渉局面へ向かうための準備をしていたためだと思う」と述べたことがある。
「非核化は先代の遺訓」発言は本物か
南北関係改善を図ろうとする北朝鮮の行動について、専門家らはこれまで「米朝関係の現状維持」を図るための戦略だという見方と、長期的なロードマップ戦略があり、それにしたがった行動だとみていた。
前者は米朝対話をアレンジすべきという両国からの圧力に、韓国政府がさらされるというシナリオ。後者は、南北対話を米朝対話の入り口として活用するというシナリオだ。しかし、今回の特使訪問で確認されたことは、後者のシナリオ。つまり、米朝対話のために策定された長期的ロードマップが北朝鮮側にあったというのが大方の評価である。
統一研究院のホン・ミン北朝鮮研究室長は「北朝鮮は核・ミサイルを高度化させる時点で、すでにそれなりのロードマップを持っていた。米国との関係を正常化し、正常な国家としての扱いを受けるために、核・ミサイル開発によって対等な交渉ができる地位を獲得しようとしたのだろう」と言う。金委員長が米朝対話への意思を見せたことは、米国と国際社会からの強力な経済制裁・圧力が相当な影響を与えているという分析もある。韓国政府当局者は、「昨年、国連安全保障理事会が決議した制裁のレベルは史上最高レベル」と言う。
実際に、昨年下半期に国連安保理で決議された2371、2375、2397号は、北朝鮮の主要輸出品である石炭や鉄鉱石、水産物、衣類、などの取引を全面的に禁止する内容だった。国連加盟国は北朝鮮と追加的な協力事業も禁止され、特に北朝鮮労働者の入国を許されなくなった。
石炭や鉄鉱石、水産物などの輸出は閉ざされ、年間10億ドル(約1056億円)以上の損害となるだろうと安保理は予測した。今年1月、中国と北朝鮮の貿易額は2億1597万ドル(約232億円)で、2014年6月以降、3年7カ月ぶりに最低額を記録した。
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