マレーシアが中国人旅行客を大歓迎する事情 最大の貿易相手国、春節時期はお祭りムード

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打ち上げ花火を売る専門の業者もあるといい、大きなものは数百万円もするそうだ。大きければ大きいほど財力を示す証にもなるといい、中華系マレー人の春節ではその盛大さを競うようにしておカネをつぎ込むのだという。

ちなみに、あのけたたましい爆発音は「爆竹」によるもので厳密には違法だそうだが、もはや政府も新年ばかりは取り締まりきれないという状態だという。春節の期間中にクアラルンプールを訪れた外国人旅行客のブログなどを見ると、皆この深夜の花火騒動に驚き、中には火の粉が間近に降り注いできた、などと驚愕の体験を記している人もいた。

戌年の「犬」を巡って勃発した騒動

多民族国家の名のもと、異教徒同士がそれぞれの異なる文化的行事もオープンに楽しむ光景を目にする反面、宗教を巡る根深い複雑さも垣間見える。

春節を控えて地元紙の全面広告で掲載されたのは、「ワンワン」と犬の鳴き声を表す漢字の吹き出しとともに、なぜか犬ではなく1羽のニワトリが吠えているイラスト。イスラム教では犬を「不浄」とみなす解釈もあり、犬に代わってニワトリが吠える格好となったこの広告はすぐさま物議を醸し、「犬の絵が宗教の軋轢につながるのは残念だ」など非難の声が上がった。

CNNやAFP通信などの海外メディアも相次いでこの騒動を取り上げ、「マレーシアではチャイナタウンでも犬の飾り物は自粛ムードで外から見えない場所に隠されている」などと報じた。

実際、市内の大型ショッピングセンターでも、絢爛豪華な春節の飾り付けに使われていたのは、実物大の鶏のオブジェ。近くにいたスタッフに、今年は戌年だが“犬”は飾らないのかと尋ねると、「デコレーションは限りなくシンプルにしたいので特に犬は置かないよ」と返ってきた。

もちろん、街中では犬のオブジェや絵柄も見かけることも少なくなく、決して禁じられているわけではないのだが、無用な摩擦を避けるために対策を取るケースもあるようだ。

(左)インド系の家族連れも春節の飾りを前に記念撮影。マレーシアには古くからインド系の人々も多く根付いている。(右)思わぬ騒動を引き起こした「戌年」。有名なショッピングセンターの春節を祝う特設ステージには、犬ではなく鶏が飾られていた(筆者撮影)
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