マレーシアが中国人旅行客を大歓迎する事情 最大の貿易相手国、春節時期はお祭りムード

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春節仕様のお祝いセット(筆者撮影)

マレーシアは、イスラム教徒が6割以上を占めるが、次いで中華系、インド系も混在する多民族国家である。そのため、新年もそれぞれの宗教で盛大に祝われ、人種に関係なく他宗教のお祭りを楽しむという人たちも多い。

ことに、中華系でいえば、東南アジアの中ではシンガポールに次いでその割合は大きく、国民の約25%を占める。その多くが福建省など中国南部出身者で、天然資源が豊富なマレーシアにスズの採掘労働などを求め出稼ぎでやってきた子孫の2世、3世だ。彼らは、マレーシアで生まれながらも、マレー語だけでなく中国語を操ることができ、中国人としてのアイデンティティも比較的強く残っているといえる。

不動産会社に勤める、30代後半の中華系マレーシア人の知人女性は、自分のことを「マレーシアで生まれたので国籍はマレーシアだけれど、“中国人”よ」と、自身のアイデンティティを絶妙な言い回しで表現した。

彼女の祖母はやはり福建省からマレーシアに来て、靴作りの商売を始めたという。マレーシアで生まれ育った彼女だが、中国人としての自我も強く、周りの中華系の友人たちが集まると中国語で会話をするのが常だ。多くが仏教徒である中華系マレーシア人たちは、イスラム教が国教の国にあって、独自の文化を先祖代々脈々と守って生活している。

深夜に突然の爆音 

春節初日から9日目の深夜24時。そろそろお祭り騒ぎも落ち着き、皆寝静まっている頃かと思いきや、突然爆発音のような音があちこちから聞こえてきた。いったい、何事かと屋上から外を見渡してみると、あちこちで大きな花火が打ち上げられている。

それも3~4カ所の話ではない。10カ所、いや20カ所にも及ぶのではないかというほどそこら中から次々に、日本の花火大会で見る大輪の花のような本格的な打ち上げ花火が上がっているのだ。こんなにたくさんの場所で一斉に花火大会が開催されていることなどあるのだろうか。しかも、何か事件が起きたのかと思うほどのけたたましい“爆発音”のオンパレードだ。インターネットで調べてみるが、そのような情報はまったく見当たらない。

翌日、先述の中華系マレーシア人の知人女性に聞くと、笑いながらこう教えてくれた。「春節から数えて9日目は、中国の福建人にとっては大切な記念日なの。玉皇大帝という神様の誕生日で、その日は夜12時になったと同時に盛大にお祝いするのがしきたりよ。大きな花火も全部個人の家でやっているものよ、ちなみに私の家でも上げたわ!」

なんと、花火大会かと思ったあの本格派花火はそれぞれが個人で購入したもので、親族やご近所を呼んで盛大に打ち上げるのが習わしらしい。どうりで、インターネットで検索しても、花火大会情報が出てくるはずがない。

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