11年の歯科矯正が台なしになった女性の悲劇 定期検診に加え「親知らずの積極抜歯」が大切

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

また、親知らずはそもそも狭い窮屈なスペースで成長するので、歯根がおかしな曲がりかたをしていることがしばしばあります。下あごの中を走行する下歯槽神経周囲の硬い骨に、歯根が当たり曲がって接触しているケースや、2股に分かれた歯根が神経をまたいでいる難しいケースもあります。

抜歯には高度な技術が必要となるので、経験豊富な歯科医に任せるのが安心です。最近では2次元のレントゲンだけでなく3次元のCTが一般化されましたので、事前にかなりの危険部位の情報を得ることができます。

親知らずが最初からない人もいる

余談ですが、親知らずが最初からない人もいます。最近では親知らずどころか前歯や小臼歯も足りない子どもも見掛けます。これには、人の骨格が時代に合わせて変化していることが関係しています。

顔の骨格に大きな影響を与えるのが食生活です。最近は軟らかい食べ物が増えて、硬い食べ物をよく咀嚼して食べる機会が減りました。一昔前はせんべいのような、しっかりかんで軟らかくしないとのみ込むことができないような食べ物が中心でしたが、現在は麺類やヨーグルトのようにほとんどかまなくてものみ込める軟らかい食べ物があふれています。

こうした変化に伴い、使わない骨や歯は退化しました。かつて人間が四つ足歩行から2足歩行になって尻尾の骨が退化したように、硬い食べ物を食べる必要がなければ、それをすりつぶすための奥歯や、それを支えるあごの骨は不要になってくるのです。

そのため、親知らずが出てくるスペースを失って埋まっていたり、そもそも親知らずが最初からなかったりすることもあります。最近、シャープなあごをした若者が増え、昔のようにエラがはった四角い顔の人が少なくなったように思いますが、それもこうした骨格の変化の影響でしょう。人間は進化しているのですね。

梅田 和徳 医療法人社団 京和会 KU歯科クリニック 理事長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

うめだ かずのり / Kazunori Umeda

医療法人社団京和会KU歯科クリニックグループ理事長。日本歯科大学新潟生命歯学部 口腔インプラント科臨床講師。1970年、新潟県三条市生まれ。1994年、日本歯科大学を卒業後、医療法人弘進会に勤務。1996年、東京都世田谷区三軒茶屋にて梅田歯科を開院。1999年、医療法人京和会を設立しKU歯科クリニックに名称変更。2012年、臨床研修指導歯科医となり、渋谷院、世田谷院が厚生労働省認定臨床研修施設となる。現在、渋谷、青山、銀座など都内7カ所の医院の理事長として歯科治療を行い、またメタル不使用の技工所を経営しながら全国各地でセミナー・講演活動や執筆活動を行っている。著書に『インプラント治療のすべて 「インプラント」のこと、本当に知っていますか?』(幻冬舎ルネッサンス)、『歯があなたの人生を左右する ~プロが教える歯で損をしない方法~』(ゴマブックス)。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事