11年の歯科矯正が台なしになった女性の悲劇 定期検診に加え「親知らずの積極抜歯」が大切
また、親知らずはそもそも狭い窮屈なスペースで成長するので、歯根がおかしな曲がりかたをしていることがしばしばあります。下あごの中を走行する下歯槽神経周囲の硬い骨に、歯根が当たり曲がって接触しているケースや、2股に分かれた歯根が神経をまたいでいる難しいケースもあります。
抜歯には高度な技術が必要となるので、経験豊富な歯科医に任せるのが安心です。最近では2次元のレントゲンだけでなく3次元のCTが一般化されましたので、事前にかなりの危険部位の情報を得ることができます。
親知らずが最初からない人もいる
余談ですが、親知らずが最初からない人もいます。最近では親知らずどころか前歯や小臼歯も足りない子どもも見掛けます。これには、人の骨格が時代に合わせて変化していることが関係しています。
顔の骨格に大きな影響を与えるのが食生活です。最近は軟らかい食べ物が増えて、硬い食べ物をよく咀嚼して食べる機会が減りました。一昔前はせんべいのような、しっかりかんで軟らかくしないとのみ込むことができないような食べ物が中心でしたが、現在は麺類やヨーグルトのようにほとんどかまなくてものみ込める軟らかい食べ物があふれています。
こうした変化に伴い、使わない骨や歯は退化しました。かつて人間が四つ足歩行から2足歩行になって尻尾の骨が退化したように、硬い食べ物を食べる必要がなければ、それをすりつぶすための奥歯や、それを支えるあごの骨は不要になってくるのです。
そのため、親知らずが出てくるスペースを失って埋まっていたり、そもそも親知らずが最初からなかったりすることもあります。最近、シャープなあごをした若者が増え、昔のようにエラがはった四角い顔の人が少なくなったように思いますが、それもこうした骨格の変化の影響でしょう。人間は進化しているのですね。
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