「マネジメントに興味なし」は無気力なのか

出世を望まない若手社員が考えていること

ビル・ゲイツが語ったとされる有名な言葉のひとつに「ギーク(オタク)に親切にするべき」というものがあります。その理由とは、「これからは、ひとつのことを極めている人のほうが、平均的に何でもできる人よりも重宝されるため、彼らの下で働くことになるかもしれないから」とのことです。

たくさんの人の力を結集して、方向合わせをし、ひとりではできない大きなパワーに変えて行くことが、これまでは(もちろん今もですが)重要な仕事でした。ところが上述のビル・ゲイツの言葉のように、極端な話、何百人何千人の力を結集するよりも、「一騎当千」なひとりの天才の仕事のほうがずっと成果が出るというようなことが増えているのです。

そうなれば、マネジャーは「偉い人」というよりは、サーバントリーダーという言葉もあるように、スタープレイヤーの力を引き出す環境整備役、いわば裏方であり、あくまで主役はプレイヤーという業界が増えてきたのかもしれません。

それぞれの年代の精神発達に「適した役割」がある

それに加えて、20代の若者がマネジメントに興味が持てないというのは、ある意味、人間の精神発達という観点からみると、もともと当然のことでもあります。アイデンティティ(自己同一性)という有名な概念を提唱した心理学者エリクソンのライフサイクル理論によれば、子育てや自分の後継者の育成など、次世代が発展していくことにやりがいを感じるのは40代頃とされます。

20代のような青年期はまだその段階にはなく、それよりも、思春期からの発達課題であるアイデンティティを固め、「自分らしさ」を形成し、自分の人生を捧げるべき対象を発見していくことのほうが重要です。そして、そのまた次は、「親密性」といって、自分にとって特別な存在となる他者(仲間や恋人など)との親密な関係を構築できるようになり、人を愛する力を獲得しなくてはなりません。

このような段階を経てようやく、マネジメントのような「自分以外」の人の世話をすることに対して関心が出てくるのが自然なことなのです。それなのに、無理をして有能な若手に、「出世したいはずだろう」とマネジメントを担わせることが本当に良いことなのでしょうか。個人差はもちろんありますが、おおよそ、それぞれの年代の精神発達に「適した役割」というものがあるのです。

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