JR東日本が「中古車両」を海外に譲渡する狙い 武蔵野線「205系」336両をインドネシアへ

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だが残念なことに、中古車両の導入はインドネシア政府の方針に従い、2019年をもって禁止となる公算が強い。これまでも、車両譲渡がいよいよ停止されるということが、まことしやかにささやかれたものの、その都度延期されてきた。しかし、車齢30年を迎えた車両から順次廃車という運輸省令が2016年に発令されており、KCI親会社のインドネシア鉄道(KAI)は老朽化した客車の置き換えを急ピッチに進めている。この省令が電車にまで及ぼうとしている。

当時のファディラKCI社長は、運輸省に対して相当の働きかけをしていたといわれている。しかし、そのファディラ社長も今年1月の政府が介入する国営企業幹部の人事異動の結果、突如KCIを去ることになった。しかも、後任者が2月下旬現在においても不在という異例の事態である。

分解検査は毎月行われる

205系336両の譲渡は2020年頃まで続く見込みである。2019年以前に契約を結んでいれば、その両数までは2019年以降も導入ができるという省令の隙をついたものである。だからこそ336両という大規模な譲渡になったともいえる。

もちろん車両譲渡停止をもってJR東日本とKCIの関係がこれで終わるわけではない。武蔵野線車両の導入がすべて完了すると、4年に1度の分解検査で、毎月必ず1本以上の205系がマンガライ工場に検査入場することになる。JRTMの仕事が当面終わることはない。

そして、KCIが新型車両で既存車両を置き換える日がいずれやってくる。そのときに、同じくJR東日本の子会社である総合車両製作所(J-TREC)が新型車両に関わることはできるだろうか。期待したいところだ。

高木 聡 アジアン鉄道ライター

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たかぎ さとし / Satoshi Takagi

立教大学観光学部卒。JR線全線完乗後、活動の起点を東南アジアに移す。インドネシア在住。鉄道誌『鉄道ファン』での記事執筆、「ジャカルタの205系」「ジャカルタの東京地下鉄関連の車両」など。JABODETABEK COMMUTERS NEWS管理人。

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