日本人が知らないNYの超一流営業が持つ心得 自分が価値提供できれば相手から来てくれる

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自分は成績も悪くないし、スポーツも得意。自分に自信があるほうだ。それなのに、どうも人のなかへ入っていけないし、人から声をかけられることも少ない。なぜだ?
あるとき僕は、デイヴィッドにその悩みを打ち明けた。彼は僕の話を真剣に聴いたあと、こう言った。
「お前と俺、何が違うと思う?」
僕は何と返したらいいかわからなかった。一番の違いはアジア人ということだが、彼が質問しているのはそういうことではないだろう。
「たとえば、お前が歩いているその先に、透明なガラスの壁があったとするよな。お前はその壁に気づかずに顔面から激突してしまった。そのとき、どんな反応をする?」
僕はその場面を想像してみた。きっとあまりにも恥ずかしくて、誰かに見られてないかを確認しながら、すぐにその場を立ち去るだろう。それを彼に告げると、
「そうだろ? お前はいつもまわりのことを気にするよな。なんかカッコつけてるよね」
と、デイヴィッドはこのうえなく率直に僕の弱点を指摘した。
「俺だったらどうすると思う? きっと、普通にその失敗を使って笑いをとるよ。まわりの人とのコミュニケーションのきっかけにする。これって、お前と俺で決定的に違うところだぞ」
僕はそもそも自分から、周囲との間に壁をつくっていたことに気づいた。
(16ページより)

こうした体験から著者が学んだ「壁をつくらない」「相手に自分をさらけ出す」という姿勢は、友人関係のみならず、ビジネスでも心掛けるべきこと。英語を習得する以前に身につけておくべき、マインドのひとつだというわけだ。

その姿勢さえあれば、たとえ英語がペラペラではなくとも、自分の意思や信念が相手に伝わり、人間として興味を示してもらえることになるという。これは相手と信頼関係を築くうえでなによりも重要なことであり、自分の人間力を磨くための第一歩だという考え方である。

自分を選んでもらうために「付加価値」をつける

コマース銀行で営業の仕事をするようになり、それに慣れていくうち、著者は「どうすればお客さんの信頼を得られるか」について深く考えるようになったのだそうだ。最初は営業なんて全然やりたくなかったというのだが、そんななかにあっても最善の策を模索していたということなのだろう。

そして試行錯誤を重ね、「もっと相手に誠意を見せたい」「もっと相手に喜んでもらいたい」と思っているうちに行き着いたのは、お客さんの個人的な悩みを聞くこと。また、相談されたら、できるかぎりの助けをするようにもなったのだという。

たとえば結婚指輪を買いたいという人がいたら、極力安価で買えるように知り合いの店を紹介する。「こういう専門知識を持っている人を探している」と言われたら、自分のネットワークを使って一緒に探す。

つまりは「便利屋」のような存在になったわけである。そしてそんなことをしているうちに、お客さんから頼りにされるようになっていく。

次ページ人が求めることは、いたってシンプルだ
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