日本人が知らないNYの超一流営業が持つ心得 自分が価値提供できれば相手から来てくれる

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いうまでもなく、アジア人であることが“ハンディキャップ”になったからである。特に営業をするにあたっては、不利になることのほうが圧倒的に多いと明かす。

おそらく、同じような理由からあきらめの境地に陥ってしまった人の数は少なくないだろう。だが著者について注目すべきは、だからこそ本物の営業スキルを磨くことに心血を注いだという点である。

そのようなプロセスを経てきたからこそ、「僕が数々のチャンスをつかむことができたのは、ハンディのある状況を何とか乗り越えようとする姿勢、そして多くの人との貴重な出会いのおかげだったと感じる」とはっきり言い切ることができるのだ。

なお転職してから3年後の2007年、29歳のときにはBOA歴代最年少で全米第1位という営業成績を残してみせたという。本書の内容に説得力があるのは、そうした裏づけがあるからなのだろう。

本書はPart 1とPart 2に分かれており、Part 1では著者の経験を交えつつ、トップ営業マンたちのMindset(心情・姿勢・思考)を、Part 2ではTechniques(ルール・コツ)を紹介している。

今回はPart 1の「Mindset」から、2つのトピックスを抜き出してみたい。

素の自分を出さない人間は信用されない

世界に通用する営業スキルを身につけるためには、英語力が不可欠だと考える人は少なくないだろう。確かに英語を話せれば、それは大きな強みになるに違いない。

しかし、だからといって必ずしも英語力が必須だということでもなさそうだ。事実、英語を流暢に話せないにもかかわらず、「この人と一緒に仕事がしたい」「この人なら信用できる」と思われている人がニューヨークにはたくさんいるというのだ。

大手企業の役員クラスにも、なまりの強い英語で話す人は多いのだそうだ。それどころか、ほとんど英語が話せないのに雑貨などを売って生計を立てている人もいるのだとか。つまり、英語がペラペラでなくとも、信用や好感を得ることができているということである。

では、どうすれば人から信用されるのだろうか?

この問いについて著者は、「カッコつけた自分ではなく、素の自分を出していかないことには、相手が受け入れてくれるはずもない」と答えている。

特にさまざまなバックグラウンドを持つ人が集まる場においては、「いかに自分を見せるか」が重要になってくるということだ。

学生時代はまじめな日本人ぶりを発揮し、自他ともに認めるoverachiever(頑張りすぎな人)だったという著者も、デイヴィッドという友人との人間関係を通じてそのことに気づいた。

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