51歳、栃木で「生姜の展示館」作った男の稼業 「岩下の新生姜」はだから若者にも愛される

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漬け物といえば高年齢層が好んで食べる印象だが、若者にも向けた施設になっている。取材は平日だったにもかかわらず、かなり多くの人たちが訪れていた。カップルや家族連れのお客さんが目についた。

新生姜ミュージアム内で、岩下和了社長(51歳)に会った。つねにニコニコと笑顔のたえない人だ。

新生姜の部屋(筆者撮影)

岩下社長は、本人名義のツイッターを非常によく活用していることで知られている。「岩下の新生姜」についてつぶやいたツイートに対して、積極的にリプライ(返信)を送ったり、リツイートしたり、いいねを押す。

現在なんとのべ67万回以上の「いいね」を押しているという。ツイッターも比較的若い世代が使うSNSであり、こちらも漬け物のターゲット層とはズレている。

漬け物メーカーとしては従来にない活動を続ける岩下社長に、現在に至るまでの話を聞いた。

中学くらいまではどっぷり音楽につかっていた

「小さい頃は普通の田舎の優等生でしたね。音楽が好きでした。自分では演奏はやらないんだけど……」

岩下社長には5歳年上の兄がいて、彼の部屋からは毎日、洋楽のレコードが聞こえてきた。それで音楽が好きになった。

兄は慶應義塾高校に進学した。東京から栃木に里帰りしたときには、さまざまな曲が録音されたカセットテープをもらった。

ビートルズ、カーペンターズ、ボブ・ディラン、レインボーなどを兄の影響で聞いた。ラジオでかかっていたセックス・ピストルズも好きになった。

「中学くらいまではどっぷり音楽につかってましたね。田舎だったから家に帰ったら、音楽聞くくらいしかなくて(笑)」

中学2年のとき、クラスの催しもので「何かやって」とクラスメイトに頼まれた。

岩下社長はキャプテン・ビーフハート&ザ・マジック・バンドの「ホットヘッド」という曲をだみ声でみんなに聞かせた。

「超自己満足ですね(笑)。ほかには卒業文集で<卒業しても友達だよ><みんなありがとう!!>とか書く欄に『首はなくとも胴体は』って筒井康隆の小説の一文を書いたりしました。今となっては面白くもなんともないんだけど……そういうことをしたがるありがちな中学生でしたね(笑)」

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