平昌五輪「女子ビッグエア」16歳岩渕の飛躍 初の五輪出場で日本人最高の4位に入賞
3番手は、今大会好調ぶりを発揮している藤森選手。会場アナウンスではモデル顔負けのルックスと美豹ぶり、との選手紹介もあった。こちらも1本目、バック900を見事決め、日本勢は三人共、シナリオ通りと言って良い、高スタートを切った。
2本目は1本目より大技を仕掛けてくるのが基本。鬼塚選手はバックサイドダブルコーク1080に挑戦するも回転数が足りず着地に失敗。
岩渕もバックサイドダブルコークに挑戦。回転はバッチリだがランディングが少し後傾になり手をついてしまった。
「もったいなかった。それが減点になった部分はあったと思う。タラレバになってしまうが、これが決まっていたら、メダル圏内は確実とされるほどの大技と完成度でした」(岩渕選手をマネジメントするRADTAKE代表の川北武志氏)
3本目、出場選手はみんな大勝負にでてきた。そんな中、1位のアンナ・ガッサーは3本目もピタッと着地を合わせてきた。素晴らしいの一言だった。直前の大会である冬季Xゲーム2018(賞金がかかった大規模な国際大会)で2位の成績を収めている岩渕は点数を伸ばせず、悔しさが残る決勝となった。
会場では悔しさと涙、反面では喜びの涙が入り混じった。
悔しいはずの岩渕が金メダルに輝いたアンナ・ガッサー選手を祝福しに抱きついていったことには驚いた。スポーツの素晴らしさと偉大さを感じた光景だった。
彼女の勇姿が皆の心を1つに
試合後、そんな彼女が、父母や祖父母がいる日本応援団の方にかけつけた。耐えていたのだろう。彼女の目元から一気に溢れでる涙。我々も泣いた。一緒に抱き合った。彼女の勇姿で皆が1つになったのを直接感じた。
岩渕選手の母は「麗楽のために飛行機に乗って、韓国まで応援しに来てくれている方々の姿をみて、感謝の気持ちでいっぱいになりました。麗楽は本当に幸せ者だと思う。そして(彼女には)私たちをオリンピックに連れて来てくれてありがとうと伝えたい。応援してくれた多くの皆様と本人に本当に感謝しています」と涙を隠した。
国内外問わず、岩渕選手へ「沢山の勇気と感動をもらった」「感動をありがとう。まだまだ若いからこれから」「4年後のオリンピックが楽しみ」「スノーボードを滑った事がないけれど、スノーボードを滑りにいきたい」と感謝のメッセージも届いたという。
そこには国を背負って戦うオリンピックならではの価値と感動があった。
岩渕選手の祖父は「麗楽の涙は見たことはあまりないけど、終わってホッとしたんじゃないかな。本人は悔しかったと思います。悔しさがあってそれがバネにもなる。これから取り組み方も変わってくるし、まだこれからスタートです」
父は「ゆっくりさせてあげたい。またすぐ次の海外大会に行ってしまうけれど、それでも少しでもゆっくりさせてあげたい」と話した。
競技終了後、岩渕選手は「次の目標は自分に自信をもって滑れるだけの努力をすること。(4年後の北京五輪での自分の姿は)表彰台のてっぺんで金メダルをもっています」と語った。
すでに彼女の目は、明らかに4年後の北京を向いていた。メダルに届かなかったこの平昌での悔しさを必ずや晴らしてくれるはずだ。
(文中一部敬称略)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら