「iPhone発売初日はヒヤヒヤものだった」 ドコモ鳥塚販売部長に"iPhone後"の販売戦略を聞いた

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店頭スタッフの増員にも力を入れてきましたが、スタッフをどう確保し、育成していくかというのは大きな課題です。基本的には代理店ごとに採用活動をしていますが、比較的短期間で辞めてしまうスタッフも多い。そこで、ドコモが採用を支援するポータルサイトを作ろうと、現在、準備を進めているところです。まずはドコモのポータルサイトを閲覧してもらい、そこで働きたい地域を選択すると、実際に募集しているショップにつながる、そんな仕組みです。

また、ユーザーの声に耳を傾けることも重要です。店舗の接客アンケートやインフォメーションセンターに寄せられた意見を中心に、ドコモには年間600万件のユーザーの声が集まります。

さらに、現場のスタッフなどが提案する、業務改善、ユーザーの利便性向上につながるアイデアも年間8万件ある。こうしたデータを分析し、フィードバックしていく。非常に細かなデータがあるので、「○○さんは混雑時にお客様の満足度が下がる傾向がある」などと、スタッフごとに応対のムラを指摘したり、店舗ごとに細かなオペレーションを見直ししてきました。

ドコモショップがドコモの強み

――携帯3社ともiPhoneをそろえたことで、ネットワーク品質やコンテンツ、サービスの差別化がより重要になりました。ドコモショップは武器になりますか?

他社ショップと比べて、数字面などで「ここが違う」とは言いにくいですし、ショップの良さはユーザーが来店して、接客を体感して初めてわかることだと思います。ですから、あまり自社で「サービスがいいですよ」なんて宣伝しても…。ただ、ドコモショップならではのサービスをさらに広げ、アピールしていくことも重要だと考えています。

実は、ドコモショップは他社のショップよりも、お店ごとに変化をもたせているのが特徴です。統一された規定やマニュアルはありますが、立地や客層をみて、ローカライズされていることが多い。ショップの改装時などに代理店オーナーや各支店と話し合い、こういうニーズがあるので、店内の構造を変えてみようとか、一店一店考えています。

たとえば、店舗のすぐそばにショッピングモールがある場合、来店客は若いお母さんなど子連れの方が多い。休日は家族連れも増えます。そこで、新潟のショップでは、店のど真ん中に、ドカンとガラス張りの大型キッズコーナーを設置しました。カウンターから見える位置で子供が遊べるので、お母さんも安心することができます。お年寄りが多い店舗では、待ち時間にくつろいでもらおうと、窓際の明るい場所に畳張りの小上がりコーナーを作りました。栃木には子育て中のスタッフが子供を預けることができる託児所付きショップもあるくらいです。こんな話なら、いくらでも語ることができますよ(笑)。

都心の店舗は小さいので、あまり工夫する余地は少ないのですが、地方では店ごとにローカライズされている。こうしたショップごとの違いは、ドコモならではの強みだと思っています。

(撮影:尾形文繁)
 

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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