米国金利上昇に潜む「格差拡大」という爆弾

パウエル新議長を悩ませるもうひとつの課題

トランプ大統領は予算教書で1兆5000ドルのインフラ投資をぶち上げ(写真:REUTERS/Kevin Lamarque)

先週、北米を訪れる機会があった。久々の来訪で驚いたのは日用品の物価高だ。スタ―バックスのラテは1年半で6%値上がりし、グランデ・サイズで4.8ドルと500円を超える。日本では、この間410円のまま据え置かれている。にも関わらず、北米のスタバでは、朝から5~6人は並ぶ盛況ぶりだった。

FRB(米国連邦準備制度理事会)の利上げが開始されて2年が経過した。物価は徐々に上昇し、引き続き経済の足腰は強い。失業率は18年ぶりの低さまで低下し、賃金も改善している。住宅価格は全米平均で史上最高を更新し、マンハッタンでは1戸90億円を超えるマンションが販売されている。

しかし、米国のアキレス腱である格差問題は、実はほとんど改善していない。例えばニューヨークでは、住宅価格の上昇のあおりを受け、低所得者層の住める地域が毎年1ブロックずつ郊外に押しやられている。

実際、所得の格差を0(完全平等)から1(すべての所得を1人が完全に独占)で表す「ジニ係数」でみると、米国は2016年で0.48と、G7(先進7カ国)の中で最悪だ。

しかも、ここにきて、格差問題に新たな脅威が浮上した。金利の上昇である。

変調をきたした金利上昇の要因

一般に、長期金利は、経済成長、インフレ率、国の信用リスクプレミアム(信用リスクが高い分支払いを要求される追加金利)という3つの要素で決まる。これまでの米国の金利上昇をけん引してきたのは、経済成長やインフレ率という経済拡大に基づく要素だった。

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ところが、足元の金利上昇には、むしろ、米国の信用リスクプレミアムが影響しているとみられる。長期金利が動き始めたのは、トランプ政権が昨年末に減税法案を可決したことに呼応している。減税による財政悪化が懸念されたためだ。その後、賃金の上昇率が市場予想を上回ったことに加え、米議会が3000億ドルもの歳出上限引き上げで合意したことで一段と上昇した。

米政府の債務残高は過去最大の21兆ドル(2200兆円)に上る。現在、利払い費は歳出の10%程度を占めているが、もし金利が1%上昇したら、利払い費は年間22兆円増えることになる。これは、米国の年間歳出額400兆円の5%にも相当する 。財政の悪化が長期金利の上昇を招き、これがさらなる財政悪化を招くという悪循環に陥りかねない。

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