トランプ大統領は、なぜ脱北者を讃えたのか アジア人差別が根強い米メディアを意識?

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特に「反トランプ」メディアは、西海岸のハリウッド勢力に支配され、そのハリウッドは白人至上主義の聖地として、アジア系の人々に対する人種差別的偏見が強いことで、長年、知られる。

その傾向は、「黄禍論」に代表されるように、19世紀の昔から欧米社会のコンセプトとして存在し、第2次世界大戦中には、日系人から財産を奪い、強制収容所に隔離するに至った。

日系人に対する人種差別的偏見が少なくなった一つのきっかけは、エズラ・ボーゲル著『ジャパン・アズ・ナンバーワン』が発売されたことだろう。『ジャパン・アズ・ナンバーワン』が世に出たのは1979年だったが、それはトランプ氏が不動産ビジネスの世界で実力を発揮し始めた時期と重なる。

「ディールの天才」と言われるようになるトランプ氏が、ジャパンマネーと競い合った時期である。不動産王として、厳しい競争に勝ち抜いたトランプ氏は、当時、日本のビジネスをライバルとして認め、ビジネスに携わる日本人を高く評価していた。

その当時から、トランプ氏には人種差別的偏見はまったくと言っていいほどなかったのだ。そのトランプ氏の偏見のなさと、いまだにその偏見を引きずっている一部の米メディアとは決定的に違っている。

アジア歴訪で見せた「トランプ流」の配慮

北朝鮮からの脱北者ソンホ氏を讃(たた)えた一般教書演説は、まさにアジア系に対する人種差別的偏見のないトランプ大統領の真骨頂を見せつけた。

繰り返し強調するが、そのことに米メディアはまったく気づいていない。トランプ大統領は、いまだに人種差別的偏見を引きずる一部の米メディアに対して、そのアンチテーゼとして北朝鮮からの脱北者を登場させ、警鐘を鳴らしたのではないか、と筆者は分析している。

アジア系の人たちに対する人種差別的偏見がないトランプ大統領の真骨頂は、昨年11月のアジア歴訪でも発揮された。日本、韓国、中国の順に訪問したが、それぞれ国柄に合わせたスピーチが、いわば「トランプ流」だった。それぞれ相手の立場を重んじた内容だったからだ。

特に印象に残ったのは、トランプ大統領が韓国を訪問したときの文在寅大統領との共同記者会見だった。韓国の記者の一人が、日本での滞在日数と比べて韓国での滞在日数が短い状況を説明してから、韓国の滞在日数が短いのは、いわば「コリア・パッシング」(韓国外し)ではないか、と質問した。

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