事故物件サイトを作った男の譲れない使命感 「大島てる」は訴えられても脅されても続ける

✎ 1〜 ✎ 26 ✎ 27 ✎ 28 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

大島さんがテレビに出たり、イベントに出たりするのはサイトを売り込むためだという。

「布教活動のようなものです」と大島さんは語る。

見知らぬ人から殺害予告をされるのはとても嫌な経験だったが、それでも少しだけいいこともあった。

「批判が出るのは、そのサイトが役に立っているからですよね。どうでもいいサイトならわざわざ潰そうとはしませんから。とにもかくにもサイトの認知度が向上していると、確信することができました。

人が嫌がって手を出さないことをやる意義

ネガティブな情報を扱えば抵抗に遭うのは当たり前です。批判されるのを嫌がる人なら、手を出さないほうがいいと考えるでしょう。でも人が嫌がって手を出さないことをやる。そこにこそ意義があると私は思います」

大島さんの今の目標は、事故物件をもっと網羅していくことだという。

なるべくなら“大島てる”は事故物件を完全網羅した事故物件サイトにしたい。

「悲しいことですが日々事件・事故は起きて、事故物件も増えていきます。だからたとえ完備したサイトに仕上げても、翌日には完備性は失われます」

この日々変化していくという点は事故物件サイトの強みだという。たとえば『廃墟マップ』だったら、事故物件と同じくらい興味を引くかもしれないが、物件の数はほとんど増えていかない。見る人も一度見て満足するケースが多いだろう。

事故物件サイトは、同じ人が何度もリピートして見るという強みがある。

広告のクリックから収入を得るサイトにとって、リピーターはありがたい存在だ。

もし事故物件サイトの次にサイトを作るとしても、やはり地図上にネガティブな情報を掲載するサイトにしたいと大島さんは語る。

「たとえば食中毒を出したレストランの一覧だったり、暴力団の事務所の一覧だったりですね。でも当分の間は、事故物件サイトの完成度をより高めていきたいです。現状、サイトに載っている事故物件は氷山の一角ですから。

私も一兵卒の投稿者として投稿作業を頑張りますし、ユーザーの皆さんにもどしどし投稿してほしいです」

大島てるさんは、穏やかな外見で柔和なしゃべり方をする人だが、心には「おもねらない」「くじけない」強い芯を持った人だなと感じた。

村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事