「2005年9月、27歳の時にサイトを開設しました。最初は事故物件の住所が羅列してあるだけの単純なサイトでした。
翌2006年に、東京23区の事故物件を地図にプロットしてみました。炎が並んでいるのを見て『おお、これはすごい!!』と興奮したのを覚えています。それが現在のサイトの原型です」
その頃はまだサイトを見ている人はほとんどいなかった。広告も貼っていないから、おカネも儲からない。とにかく出費だけがかさみ、手間がかかった。
もう一度やれと言われたら嫌
ある寒い冬の夜、死者が出た横浜の火事現場を探すためにひとり自動車で出掛けた。しかしなかなか現場が見つからない。
火事場の焦げくさいにおいで場所を探ろうとして、くんくんと鼻を鳴らしている時、
「何をやってるんだろう……」
と思った。
サイトをやっていても、誰にも褒められず、誰にも怒られない。むなしかった。
「本当にキツかったですね。もう一度やれと言われたら嫌です。当時は『これは仕事だ』と言い訳のように言っていましたが、実際には1円も稼げていませんでしたし……。
でも『大学院をやめたところじゃないか。もしこのサイトまで投げ出したら、今後何をしたってモノにならないぞ』と自分に言い聞かせました」
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