五輪スケート「歌付き曲解禁」はよかったのか それでも羽生結弦は器楽曲にこだわった

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エフゲニア・タラソワ(23)、ウラジーミル・モロゾフ(25)組は、ショートプログラムではラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を使うものの、フリーではクリスティーナ・アギレラの「キャンディマン」に合わせて演技を行う。

「キャンディマン」の歌詞にはいやらしい部分もあるが、「自由に滑り、自分らしさを出せればもっと楽しくなると思う。五輪のプログラムはゆっくりなものが多いから、差別化したいんだ」とモロゾフは言う。

歌詞が付いていると集中が削がれる

一方で、器楽曲にこだわる選手もいる。

日本の羽生結弦選手は平昌五輪に先立ち、技術的に困難な4回転ジャンプに取り組む際に曲に歌詞が付いていると集中力が削がれることに気がついた。

「彼はジャンプのために一定のテンポを保たなければならないのだが、歌詞に気を取られずにいるのが難しいんだ」と、コーチのブライアン・オーサーは言う。

ペアに出場するドイツのアリョーナ・サブチェンコ、ブルーノ・マソ組も、選んだのは器楽曲だ。ボーカル曲を使うと演技が薄っぺらい印象になりかねないというのがマソの考えだ。「真剣な勝負に感じられなくなる」とマソは言う。それに、音楽の解釈においても縛りがきつくなりすぎる。

「歌詞があると、歌詞に合わせたストーリーを作らなければならなくなる。歌詞がなければ、思うがままのストーリーを作れる」とマソは言う。

歌詞の代わりに「語り」を採用する選手もいる。女子シングルのエフゲニア・メドベージェワ(18、OAR)のショートプログラムでは、ショパンのノクターンが流れる中、突然「帰ってきて」という女性の声が入り、メドベージェワが体を抜け出ようとする魂を呼び戻すジェスチャーをする。

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