五輪スケート「歌付き曲解禁」はよかったのか

それでも羽生結弦は器楽曲にこだわった

金メダルを取った羽生結弦は、歌付きではなく、器楽曲にこだわった(写真:Chang W. Lee/The New York Times)

ジュリアンジージエ・イー(20)は、フィギュアスケートではマレーシア初となるオリンピック出場選手だ。だが、彼は五輪の舞台で、おなじみのチャイコフスキーやラフマニノフのクラシック曲に乗せて演技をするつもりはなかった。マーラーでもなければビゼーでも。彼が選んだのは米国人作曲家の作品。とは言えガーシュインの軽快な音楽とは違う。

イーがフリーの演技で使ったのは、ソウル歌手のジェームス・ブラウンの楽曲だ。「マンズ・マンズ・ワールド」や「セックス・マシーン」といった往年のヒット曲のメドレーで、ブラウンの声が場内に響き渡ることになる。

「ジェームス・ブラウンのエネルギー量(のすごさ)を舞台上で表現できたら、観客にも審判にも受けるはずだ」と、イーは去年9月、ドイツでの大会で出場権を獲得した際に語っていた。

ジャスティン・ビーバーの曲もOKに

平昌冬季五輪は、フィギュアスケートのシングルとペアの競技でボーカル付きの曲の使用が認められる初の大会となる。もちろん、これまでさんざん使われてきた「カルメン」や「白鳥の湖」のような曲は今も使われているし、そのほうが多いかもしれない。だが最近では、モービーやビートルズやジャスティン・ビーバーの楽曲も同じように候補になり得る。

若い世代のスケートファン獲得に向けた(そして若い選手たちを満足させる)試みとして、国際スケート連盟は2014年ソチ五輪の後、ボーカル曲の使用を認めるルール変更を行った(アイスダンスでは1990年代後半から使用が認められている)。歌詞があれば選手は物語を表現しやすくなるし、ラジオなど身近でよく流れる曲であれば、その曲のファンも引きつけることができるかもしれないというのが賛成派の言い分だ。

「ボーカル付きの音楽は時として、情熱をさらに際立たせる」と語るのはペアの中国代表、韓聡選手(25)だ。彼と隋文静選手(22)のペアのショートプログラム曲は、レナード・コーエンの「ハレルヤ」をk.d.ラングがカバーしたものだ。

「歌詞に何らかの意味があると、人の心の琴線に触れやすくなるのかもしれない」と韓は言う。

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