なぜかといえば、EU加盟国は、2020年代に財政収支を黒字にする方針だからだ。ドイツやオランダではもうすでに財政黒字になっている。高成長・低金利頼みで政府債務残高対GDP比が下がるのではない。財政健全化努力をすることで、政府債務残高対GDP比を下げる決意なのだ。
もっともEU加盟国は、緊縮財政にあえいで、経済成長が落ち込むとみているわけではない。財政収支を黒字化し、政府債務残高対GDP比が下がる中でも、実質成長率は1.2~1.4%と見込んでいるのである。
このように、日米とEU諸国は、極めて対照的といえる。確かに財政健全化の究極の目標は、政府債務残高対GDP比を安定的に引き下げること。が、高成長・低金利頼みで確実に達成しようとすれば、想定外に名目成長率が下がったり、国債金利が上がるだけでも、達成が危うくなってしまう。
歳出の抑制や税収の確保こそが正攻法
とりわけ冒頭に示したように、財政健全化に不熱心で国債を増発するとみられただけで、国債金利は上がることもある。さらには日米欧で展開されてきた大規模な金融緩和政策を、今後徐々に縮小していくとなると、そのときには金利の上昇は不可避だろう。米国や欧州では、すでにその予兆が出始めている。
政府債務残高対GDP比を安定的に引き下げるという、財政健全化の究極の目標を達成するには、財政出動に依存せずに経済成長できる基盤を構築しつつ、歳出の抑制や税収の確保による財政健全化努力こそが、正攻法であり王道なのだ。
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