職場の「フリーアドレス化」定着に必要な視点 成功する職場はいったい何が違うのか?

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筆者が仕事で関わる多くの会社で、第2世代のフリーアドレスが導入されています。きっかけは働き方改革とオフィス移転。残業を削減するため、また会議や作業の効率化を図るため、コミュニケーションの手法を見直す動きが出てきました。

たとえば、長時間の会議をするより、部門横断的なコミュニケーションができる環境を構築し、日常の中でビジネスが進む状況を作りたいと考える現場が増えてきました。筆者が取材したある製造業の会社では、組織を分断していたロッカーを移設。オフィススペースのコンパクト化を図りました。そして、柔軟な座席配置にしたのに加え、チーム型机を導入。管理職も一般社員も横並びで「空いている席をみつけて、仕事をする」フリーアドレス環境に転換しました。

管理部門は、管理職からの反対を想定していましたが、以外にも(?)反対意見はゼロ。管理職も横のつながりを強化することで、業務効率を上げられると感じたようです。

実際に導入後も想定通り、コミュニケーションが円滑化し、管理職も一般社員も満足度が高いとのこと。

あるシステム開発会社でもフリーアドレスの導入により、業務スペースが小さくなり不満が出ると思ったところ、「打ち合わせのスピードが速まった」などと現場は好意的。成果にもつながっているという意見が多数寄せられているそうです。

働き方にも変化を生み出している

フリーアドレス導入は、働き方にも変化を生み出すようです。決められた机で上司の指示待ちであった社員がフリーアドレスで働きはじめたことで、「どの席に座るか?」「何時まで働こうか?」と考える機会が増えて、主体的に仕事に取り組むようになったケースが生まれていると聞きます。このように筆者が取材したフリーアドレス導入企業で大半は「継続をしていきたい」と前向きな意見でした。それでは、第2世代はこれからも続くでしょうか?

オフィス仲介大手・ザイマックス社の調査で、フリーアドレスを導入済みと回答した会社は2割弱。しかも全組織で導入したのではなく、フリーアドレスに適した部門での部分的な導入に限定している会社が多数でした。まだまだ、オフィス環境の中心にあるわけではありません。第2世代に成功している企業は、管理部門などが第1世代時代の反省を踏まえているなど、限定的に導入が進んでいるようです。

総務など、社内の人が多く訪ねてくるために席位置を固定したほうがいい部門。あるいは法務や経営企画など、情報管理上などの事情で、席を固定する必要がある職種。業界的には金融、商社など、さほど実施や検討が進んでいない業界もあります。

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