首相が狙う憲法改正に待ち受ける公明党の壁

公明は2019年参院選終了まで議論したくない

まず、歴代の自民党政権は自衛隊を合憲と位置づけてきたし、共産党を除く与野党も自衛隊を合憲としている。「違憲」と主張する政治勢力が限られる中、安倍首相の「違憲解消論」は強引な憲法改正の理屈付けだという指摘である。

9条は戦力の不保持を明確にしているのだから、自衛隊は「戦力ではない」とわざわざ定義づける必要があるのかという批判もある。さらに、自衛隊を明文化することで、集団的自衛権の限定的な容認を盛り込んだ安全保障法制を追認するという見方も出ている。

従来の自民党案では公明党の賛同を得られない

自衛隊「追加」の背景には、安倍首相の政治的判断がある。2項削除で国防軍の新設という従来の自民党案に固執すれば、論理的整合性は取れるかもしれないが、公明党の賛同は得られない。

改憲には衆参両院で3分の2以上の賛成を得て発議しなければならないため、現状では公明党の同調が不可欠。その公明党への配慮から、2項を残したまま自衛隊を書き加える案を推進しているわけだ。

これには、安倍首相のライバルである石破茂元幹事長が強く反発。自民党の憲法改正草案にのっとり、「2項削除、国防軍新設」の方針を維持するよう訴えている。

石破氏にも政治的な狙いがある。自民党が長年議論してまとめた「2項削除、国防軍新設」案には、党内のベテラン議員の支持が多いうえ、安倍首相の案では自衛隊や自衛権の役割などをめぐって、再び論争が巻き起こり、収拾がつかなくなる可能性がある。そこで「原理原則」を唱え、安倍首相との「差異化」を図ろうという狙いだ。

さらに「異変」が起きている。公明党内で、憲法への自衛隊の明記に対する慎重論が高まってきたのである。

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