「額賀降ろし」の裏側は総裁選「闇仕合い」だ 平成研は会長交代で安倍3選支持の白紙化も

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額賀福志郎氏(右)は額賀派の会長退任を迫られている。写真は昨年12月。来日した韓日議員連盟の姜昌一会長(右)、安倍首相と共に(写真:共同)

自民党額賀派(平成研究会)の会長交代をめぐるクーデターが永田町の耳目を集めている。同派参院議員(21人)が派閥領袖(会長)の額賀福志郎元財務相に退任要求を突きつけ、額賀氏も受け入れざるを得ない事態となりつつあるからだ。通常国会召集直後に表沙汰となった歴史ある大派閥のお家騒動の背景には、今年9月の総裁選への対応をめぐる同派内の親安倍派と反安倍派のせめぎ合いがあるとされ、圧勝での総裁3選を狙う安倍晋三首相サイドも「結果次第では、総裁選の構図が変わりかねない」(細田派幹部)と神経を尖らせている。

この時期に同派参院組が決起したのは、このまま額賀体制が続けば「総裁選もなし崩しで安倍支持となり、派閥としての存在すら問われかねない」(参院幹部)との危機感からだ。額賀氏が派閥会長に就任したのは2009年9月で、すでに在任9年目を迎えている。本来、自民党の主要派閥では領袖が総理・総裁候補となるのが通例で、額賀氏も会長就任時には総裁選立候補を視野に入れていたが、派内長老の反対などで出馬できないまま現在に至っている。

こうした「総理・総裁候補不在」で活気を失った派閥の現状への危機感が今回のクーデター劇につながった。ただ、その背景には1強を誇示する安倍政権への派内の不満や反発もちらつく。「このまま、長い物には巻かれろと9月の総裁選で安倍支持に回れば戦う派閥という看板が泣く」(参院幹部)との声の先には、首相の再登板以来の党・内閣人事で茂木敏充経済再生相や加藤勝信厚生労働相ら派内の「安倍支持派」ばかりが重用されていることへの強い不満があることは間違いない。

「額賀降ろし」の動きは3年前から

もともと、額賀氏は順送りで派閥領袖になった経緯もあり「派内の掌握力が弱い」のが実態。このため、3年近く前から同派の中興の祖でもある故竹下登元首相の弟の竹下亘現総務会長への代替わりを模索する動きが続いてきた。今回のクーデターは「6年ぶりの戦い」となる9月の総裁選をにらんで、額賀氏らの安倍支持を白紙に戻し「状況次第では他候補の支援もありうる」という姿勢をちらつかせることで、首相の1強維持をけん制しようとの狙いもあるとされる。

今回のクーデター劇は1月上旬、参院の額賀派リーダーである吉田博美参院幹事長が秘かに額賀氏に面会を求め、「1月末までに」と期限を切って派閥会長退任要求を突き付けたのが始まりだ。21人の同派参院組の総意として「会長を交代しないのなら、参院全員が派閥を離脱する」と迫る吉田氏に対し、額賀氏は「失うものは何もない」と退任を拒否したが、参院組は1月25日の派閥総会をボイコットし、別の場所で会合を開く事態となった。

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