玄関の鍵が「子どもの見守り」になる仕掛け ソニー子会社が手がける新サービスとは?
この機能をコンシューマユーザーは一種の見守り機能と捉えたことが、その後のキュリオの製品開発へとつながった。もともとは、民泊などで使えるようリモート操作を可能にすることが目的だったが、鍵操作の通知が“ゆるく”家族間での情報共有になると気づいたためである。
「誰かが帰ってきた。塾から子どもが自宅に戻った。時間帯から家族の行動パターンが大まかに把握できることが安心感となり、実際に使っているととても心地よいことがわかってきた」(西條氏)
鍵操作の通知を「見守り」に活用
この経験を生かしたのがキュリオスマートタグだ。スマートタグの機能は、MAMORIOやTrackRと同様、Bluetoothとスマートフォンを用いて行う“どこにタグが存在しているか”を目安として知らせるというものだ。
これだけならば、あまたある“忘れ物防止”の電子タグと同じだが、キュリオは同様の技術を家族の見守り、コミュニケーションに活用している。
「子どもやお年寄りに持たせておけば、自宅に戻った際にHUBを通じて通知が出る。LINEのIDを登録していれば、LINEアカウントを通じて“ただいま”と帰宅を知らせるメッセージが保護者として登録した全員に入る」(西條氏)
キュリオスマートタグは、紛失防止のための電子タグと同様、コミュニティの中に対応アプリをインストールしているユーザーがいれば、相互にタグを発見し、位置情報を記録する機能を有する。たとえば同じ幼稚園や同じ小学校の中で利用者が増えれば、子どもの所在地をより把握しやすくなる。
さらにキュリオハブを家庭内だけでなく、学校の教室や塾といった子どもが出入りする場所に配置していけば、子どもたちの行動パターンを“ゆるやかに”把握できるようになっていく。
無論、もっとタイトに子どもの行動管理を行うことは技術的には可能だ。しかし、実際に利用者からのニーズを汲み上げながら事業を続けてきたキュリオは、機能性の追求よりも“心地よさ”を拾い上げ、少しずつ製品を加えていくという考えのようだ。
「もっと厳密な意味でのホームセキュリティや見守りをしたいなら、小型カメラを組み合わせた解決方法もあるでしょう。しかし、いくら自宅とはいえ、家族が住んでいる空間をカメラで監視するのには強い抵抗感がある。機能優先ではなく、あくまで消費者体験が最優先。ニーズを見つけ、そこに向けてウェブ上でのサービスモデルを開発し、必要ならばハードウエアを作る。最終的にハードウエアも作りますが、会社としての目標は生活の中に製品、サービスが溶け込んで見えなくなるような“使いこなす必要がないもの”を意識しています」(西條氏)
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