「新専門医制度」は医師にも患者にも"迷惑"だ 地方の医師不足を助長、新制度は問題だらけ

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 2017年12月、新制度による初の専攻医の採用結果が出た。機構は「眼科などの一部の診療科を除き、都市部への専攻医の集中は起こらなかった。過去5年の採用実績を超えた診療科は調整する」と発表。特に東京都では眼科の応募者が集中したという。

定員調整で採用にあふれた医師は、別の地域の病院に移る、研修を1年後に延期するなどの対応に迫られることになる。

こうした専攻医数の調整だけでなく、内科や小児科などの専攻医数が多い診療科は大学病院以外の研修施設を設置する、地域の関連病院への一定期間の勤務を義務化するなど、地域医療に配慮した基準の見直しが行われた。

いい意味で「地域医療への歩み寄り」。だが、本来の目的である「専門医の質の向上」という点では反対意見もある。

医師会の反対強く、新制度で本質的な議論進まず

「医師の地域偏在という社会問題と、質の高い専門医の育成を結びつけるべきではありません」

こう話すのは、筑波大学医学医療系地域医療教育学教授の前野哲博医師だ。前野医師は新制度で新たに誕生する「総合診療専門医」の育成に携わる。総合診療専門医とは、子どもから高齢者まで地域の医療をまるごとみるジェネラリストだ。高齢化で慢性的な病気を抱える人が増加するなか、医療だけでなく介護も含めた地域包括ケアが推進されている。その要となるのが、総合診療専門医だ。

だが、その育成には時間がかかりそうだ。理由は、こうだ。「総合診療医の本質的な議論はあまり進みませんでした。というのも、開業医の入会率が高い日本医師会の反対が強かったのです。トレーニングを受けた総合診療医が町に増えれば、今いる開業医は自分たちのパイがなくなるのではないかという不安があるからです」(渋谷医師)

新制度下の一次募集で集まった総合診療の専攻医は全国で158人。総合診療医への注目が高まっているにもかかわらず、その数は伸び悩んだ。前野医師は「一番の障壁は、へき地勤務」と言い切る。

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