「新専門医制度」は医師にも患者にも"迷惑"だ

地方の医師不足を助長、新制度は問題だらけ

新制度は医学部生の将来を左右する(写真:Sergey Nivens / PIXTA)
新憲法に新税制――「新」がつく改革や改善は、たいてい紛糾するもの。もれなく、医療界の「新専門医制度」も医師の間で議論を呼んでいる。1月29日発売のAERA MOOK『AERA Premium 医者・医学部がわかる2018』から、新専門医制度について解説した記事を転載する。

より腕のいい医師から、よりレベルの高い治療を受けたい――。患者ならば誰もがそう願うはずだ。その判断材料を「専門医」という肩書に求める患者もいるだろう。専門医の取得は義務ではないが、医師の9割が取得を目指すという。

この専門医をめぐって、大きな動きが起こっている。従来の専門医取得のしくみを見直した「新専門医制度」(以下、新制度)が2018年4月から始まるのだ。実はこの制度、開始が1年延期され、やっとスタートにこぎつけた。だが、いまだに批判の声が鳴りやまない。

新制度の内容は後述するとして、今回、現役医師に新制度についてアンケート調査を行うと、74%が「反対」だった。「制度自体がわかりにくく見切り発車という感が否めない」「医療のためというより既得権益のためのように感じる」「勤務地や専門の選択の自由が制限される」などの理由があがった。

既得権益の「政治闘争」で混迷する新制度

医学生の間にも不安が広がる。

「専門医にはなんとなくなるものだと思っている人が多い。新制度が始まったから早めに専門を考えないといけないと言われるが、何をしていいかわかりません」(医学部3年生)

なぜ、新制度はここまで混迷しているのか。東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授の渋谷健司医師は「専門医の質の担保という目的に地域の医師偏在問題が混ざり合い、結局、既得権益同士の政治闘争のようになってしまいました。一番かわいそうなのは巻き込まれた若手医師です」と言う。

渋谷医師が指摘するように、そもそも新制度の狙いは、専門医の質を向上させることだ。

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