幻の五輪競技「犬ぞりレース」を知ってますか 1932年「一度だけ」行われた競技の史実は?
今回も、よく聞かれる質問に答える形で、解説しましょう。
Q1. 「レークプラシッドオリンピック」とは何ですか?
1932年2月にアメリカ北東部、ニューヨーク州のリゾート地、レークプラシッドで行われた「第3回冬季オリンピック」です。
この頃はまだ種目も少なく、正式競技の5競技14種目(スキー、男子スピードスケート、フィギュアスケート、アイスホッケー、ボブスレー)と、「公開競技」として3競技5種目が行われました。ちなみに同地では、1980年にも再び冬季五輪が開催されています。
犬ぞりレースは「公開競技」のひとつだった
Q2. 「公開競技」とは何ですか?
オリンピックの主催国で根付いている特有のスポーツ、または多くの国に広まっているスポーツをオリンピック競技として実験的に実施 (デモンストレーション)するものです。
このときのレークプラシッドオリンピックでは、「女子スピードスケート(3種目)」「カーリング」、そしてアメリカと北アメリカ大陸の先住民族のスポーツとして「犬ぞりレース(Sled Dog Race)」が採用されました。「女子スピードスケート(3種目)」と「犬ぞりレース」が公開競技に採用されたのは、このときが初めてでした。
女子スピードスケートとカーリングはその後、広く世界に普及し、現在は正式種目となっていますが、犬ぞりレースはこの大会で「1回」開催されたのみで、以降は行われませんでした。
Q3. 犬ぞりレースはなぜ正式競技にならなかったのですか?
当時、犬ぞりレースはまだ北米の一部地域に限られたローカルスポーツにすぎず、競技の認知度も含め、世界的な普及にはおよばなかったためです。
Q4. 「犬ぞり」はスポーツですか?
はい。極北の地に生きる人々にとって、犬ぞりは「スポーツ」であり、同時に「不可欠な生活手段」でもありました。
厳しい冬の季節には、氷雪に覆われる大地を自由に横断し、郵便物や生活物資を定期的に輸送していたのが、この「犬ぞり」でした。
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