「自分にしかできない仕事」を確立する心得 はあちゅう×田中里奈「実験し続けたい」
はあちゅう:私は「代表作がほしい」とか「作家としての認知がほしい」とか、ゴールを決めて進んでいくタイプだから、里奈さんとは逆かもしれません。この違いって面白いですよね。ただ、心をかろやかに持てるのが羨ましいな、と里奈さんと話してて思うことがあります。
里奈:もちろん目標はあるんですが、「私はこうなるんだ!」というみたいにガチガチに決めるのは、私の場合執着に結び付いちゃうので、あえて決めずにいて、可能性を広げるようにしています。人生何があるかわからないし。はあちゅうさんみたいに決めて進むのがいいのか、私みたいに決めないでいるのがいいのか、みんなそれぞれ自分に合うスタイルを見つけてほしい。
ただ、これだけは言っておきたいのが、自分がしてきた経験や努力はどんな道を選択しようと、必ず自分の背中を押してくれるということです。積み重ねてきたことが、今の自分にしかできないことを作り上げている。はあちゅうさんが作家として活動するなかで、紙だけじゃなくネットもフル活用してる点だってそうじゃないでしょうか。
はあちゅう:確かに、紙とブログやnote、SNS、動画などのネット、とハイブリッドにやってきたから、本をコンスタントに出し続けてこられたのかもしれません。自分が長く続けてきたことや経験を活かすと、自分にしかできない仕事につながりやすいと思います。
生きながら「実験」を続けている
里奈:経験はすごく大きな財産です。はあちゅうさんの本に、「〆切のない仕事」の話が出てきて、すごく興味深く読みました。私自身は〆切のない仕事をするぞ、と意識的に動いているわけじゃないけど、いろいろな経験をしようと思って日々過ごしてることが、〆切のない仕事に近いかも、って思いました。経験を増やしていけば、そのぶん一つひとつの仕事の厚みが増すし、そういう仕事をしていきたい。だから、今の自分に必要な経験だと思えば、丸1日かけるのも厭わない。
はあちゅう:素敵な姿勢ですねぇ。最近の私がしている〆切のない仕事は、SHOWROOMでの生配信や小説の執筆でしょうか。誰かから「生配信してください」と頼まれてるわけではないけど、やりながら何かにつながるかなという思いで実験している真っ最中です。小説も「書いてください」と言われているわけでもないですが、自分が書いた小説を自分でも読みたいし、もちろん読者にも届けたい。そんな理想の自分になりたくて書き続けています。このふたつはしばらく続けていくつもりです。
里奈:今「実験」って言葉が出てきましたけど、はあちゅうさんも私もずっと実験しながら生きていると思います。私は、楽しいことだけ選んでいくと、どういう人生になるか実験していますし、今後もその実験は続けていきたい。
はあちゅう:私も「生きることが仕事になる」ことを、自分の人生を通じて実験し続けたいし、その過程を本などのコンテンツとして発表できたらな、と思っています。
(構成:池田園子、撮影:菊岡俊子)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら