路面電車「次世代型」でも法律は旧態依然だ

車両の長さや速度の制限、再検討の必要は

しかし、速度や車両長等の一般的な規制が今も合理性を持つのかは再検討されてもよいと思われる。

車両の制動装置の性能は昔に比べて向上している。電磁吸着ブレーキ(レールに電磁石を吸着させて制動力を得るもの)などの緊急ブレーキにより非常時の制動距離は短縮可能であり、他の安全確保措置の併用も含め速度制限の当否は再検討されてもよい。また、列車が持つ大量輸送能力という特長を考えれば、車両長を30m超えにするために許可が必要というのは本末転倒であり、むしろ道路状況により車両長を30m以下に規制できる、とするべきではなかろうか。続行運転による輸送力補完が可能といっても、運転士2名を確保するのは事業者にとって負担である。

道路は自動車だけのものではない

なによりほかの交通機関、特に自動車の円滑な動きを妨げないように軌道に制限をかける、という視点の再検討も必要である。この点は、道路交通法第21条(軌道敷内諸車乗り入れ禁止)により、一応は道路上で軌道の車両が優先されることが建前となっている。

しかし、1960年代からのモータリゼーションにより自動車の交通量が急激に増加し渋滞が発生するようになったことを受け、軌道敷の諸車への解放という動きが生じた。軌道敷内諸車乗り入れの規制緩和がなされるようになったのである。それにより道路の渋滞が緩和されるどころか軌道敷にも渋滞が発生して路面電車も渋滞に巻き込まれるようになり、生命線である速達性や定時性が失われた。ひいては路面電車に対する利用者の信頼も失われ、路面電車の衰退につながった。

高速自動車国道(道路法第3条第1号)を除き、道路は自動車だけのものではなく軌道を含む一般交通の用に供される施設である(道路法第2条第1項)。しかも軌道については、2007年に成立した地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(以下「地域公共交通活性化・再生法」)により、活性化、再生されるべき地域公共交通に指定されている(地域公共交通活性化・再生法第2条第1項、第2項ロ)。

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