路面電車「次世代型」でも法律は旧態依然だ 車両の長さや速度の制限、再検討の必要は

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軌間(レール幅)についても特徴がある。軌道以外の日本の鉄道では、1435mm、1067mm、1372mm、762mmが用いられている。一方、軌道の軌間は法令上762mm、1067mm、1435mmのみとされており(軌道建設規程5条)、1372mmの列挙はない(ただし、軌道として整備されている都電荒川線、東急世田谷線、函館市交通局の路線は軌間が1372mm)。

また、軌道が原則として道路上に敷設されることから(軌道法第2条、道路交通法第2条第13号)、道路上の他の交通との安全確保のための制限が存在する。

最も特徴的なものは車両運転速度の制限である。車両最高時速は40㎞以下、平均時速は30km以下と定められている(軌道運転規則53条)。軌道車両のほうが自動車より制動距離が長いことなどがその理由である。目視による安全確保を前提とした続行運転が認められていることもその理由であろう。

車両の長さも決まっている

広島電鉄の5000系「グリーンムーバー」は全長30.5mで、国交相の許可(特認)を受けて運行している(写真:釣りどれ / PIXTA)

車両長にも制限がなされており、車両を連結して運転するときには全長30m以下とされている(軌道運転規則第46条)。他の車両の円滑な道路交通確保の要請と、路面電車は大型車両を予定していないという前提によるものと思われる。

ただし、速度や車両長については国土交通大臣の許可(特認)による例外が認められる(軌道運転規則第2条、3条)。速度については、阪堺電気軌道において信号設置や新設軌道(いわゆる「専用軌道」・軌道運転規則第3条)であることなどを理由に最高時速50kmが許可されている箇所がある。車両長についても、全長30.5mの広島電鉄5000系「グリーンムーバー」が国交相の許可を得て運行されている。なお、前述の規定のない軌間が採用されている事例も、詳細は不明だが特認によるものと思われる。

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